掲載:2017年12月 / クリティカル・ケア部
日時 : | 2017年11月17日(金)18:30~19:20 |
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会場 : | E会場 仙台国際センター 展示棟1F「会議室1」 |
演者 : | 福家 聡先生 KKR札幌医療センター 呼吸器科 |
座長 : | 堀江 健夫先生 前橋赤十字病院 呼吸器内科 |
抄録 : | ![]() |
今回福家先生からは、TOSCAの測定原理、精度、経皮的二酸化炭素分圧(TcpCO2)の変化をどう理解するか、臨床状況把握への有用性について、それぞれの項目について具体例や注意点などが発表されました。また今年発売となった新型経皮血液ガスモニタTCM5の精度検討と使用感調査の発表もされました。
はじめにTOSCAの測定精度とPaCO2変化への追従性ついてご自身で行われた研究データをベースに説明されました。これは臨床使用上、TOSCAの測定数値が有用なのかを評価する重要な研究です。全測定データの解析を行ったところ血液ガスと良好な相関性があるが、多少ばらつきが見られた。しかし個人内でのPaCO2とTcpCO2比較では極めて良好な相関が認められ(r=0.96~0.99 )、そこで得られた補正式で補正した値はPaCO2の変化を良好に反映したことを発表されました。またPaCO2の急性変化に対する追従性に関しても良好で、TcpCO2とPaCO2変化の時間差は95秒であり、臨床上での有用性が示唆されました。また本研究の被験者として先生ご自身も参加しておられ、初めてAラインを取られた際、激しい痛みが伴うことを経験したこと、この痛みを経皮モニタ導入により減らせるのは患者様 にとって非常に有用であることも補足されました。
臨床使用例においては気管支喘息や肺結核後遺症の急性期NPPV導入例を紹介されました。NPPV導入に伴いTOSCAにてTcpCO2測定を開始、導入後TcpCO2を連続モニタリングすることにより換気改善が確認された症例を紹介されました。慢性期NPPVの機器調整の例として機械調整目的で入院されたCOPD症例へのTOSCAの使用例が紹介されました。具体的には機器の吸気圧およびトリガー感度の変更が患者様に適切かどうかのアセスメントにTOSCAを使用し、急性期だけでなく慢性期NPPV患者へのTOSCA導入の重要性を説明されました。
NPPV療法の実態調査のデータを紹介され、NPPV導入基準や吸気圧設定の基準の目安となるパラメータの大きな要因の1つがPaCO2であるなら、導入前後でのCO2モニタリングは有用であると呼吸管理法としてご提案をされました。また在宅酸素療法中の患者様の増悪にネーザルハイフローが導入され、その際にも終日TcpCO2測定を行いPaCO2が上昇しないかモニタリングした症例も紹介されました。
更に新型経皮血液ガスモニタTCM5の精度検討については従来の機種よりも相関性が高く(r=0.92)、また現行機種の操作になれている病棟スタッフに使用感に関するアンケートを実施したところ、操作性、視認性、サイズ等全項目について新型が圧倒的に高評価であったことを御示し頂きました。
使用中のトラブルシューティング法も紹介されました。測定データにアーチファクトが入った際の対応方法、血ガスとTcpCO2の数値が乖離した際の考えられる原因と対策についても先生ご自身の経験の中から分かりやすくご説明されました。
質疑応答では、メンテナンスや取り付けに関しての担当部署についての質問がありました。福家先生からは、トレーニングは必要となるが、慣れれば病棟スタッフですべて対応が可能であり、実際に福家先生のご施設ではすべてスタッフがメンテナンスを行っているとアドバイスがありました。
最後にTCM5は容易に非侵襲でTcpCO2が測定できるため一般病棟での有用性が極めて高いので、今後幅広く病棟で使われることを願っているとお話され、セミナーは終了となりました。
素晴らしい講演をされました演者の福家先生、スムーズな司会進行により本セミナーを成功に導いてくださった堀江先生に深く感謝を申し上げます。
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