『 日本初!兵庫県と県立がんセンターによる新たな試み ~兵庫県立病院12施設のシミュレーションセンター』
聞き手
職場に復帰するにあたり躊躇される方も多いかと思いますが、こちらで研修を受けることが可能ということですね。
尾原先生
現在の麻酔学は、麻酔薬、管理方法が急激に変わってきていますので、家庭に入り、数年も臨床の現場を離れてしまうと、浦島太郎みたいになってしまいます。 現場で働いている人たちは、学会や講演会に行くなど新しい知識に触れる機会が多々ありますが、家庭に入った方の場合、そういった機会はかなり限られてしまいます。 女医さんが復帰を考えても、昔使っていた麻酔薬とは全然違うものが使われているといった不安があると聞いています。このプロジェクトでは、麻酔センターで新しい考え方や知識に触れていただき、基礎的トレーニングを受け、再び現場へ帰って行って頂こうと考えています。

聞き手
先生は長い間、大学で教壇に立たれ、教育の専門家でもあられるわけですが、先生の目からご覧になって、シミュレータを使った教育の効果はどの様にお感じになられますか。
尾原先生
例えば、麻酔学を考えても、麻酔中には、喘息とかアナフィラキシーショックなど色々な危機的状況が起こってきます。 それらを全部経験しようと思ったら、やはり5年、10年かかります。 ところが、麻酔センターで採用している高機能シミュレータは、麻酔のプログラムが非常に充実しており、シミュレーション教育中に危機的状態をいつでも作り出せます。 また繰り返し危機的状態を作れますから、学習が非常に進みます。例えば、1年に数回しか起こらないような危機的状態を初めて体験する人には対処が分からないわけですが、シミュレーション教育によって、モニタにはこういう変化があります、こういう治療・対処をします、ということを教えておけば、危機的状態に出会った時に、すぐに頭に浮かんできます。 そういう意味で、シミュレーション教育は非常に重要だと思うんです。
聞き手
教育プログラムを教えて頂くことは可能でしょうか。
尾原先生
教育プログラムは職種によって変えています。 例えば、研修医の場合は3日間コースを開催しています。 朝から夕方までの3日間の研修に成ります。シミュレータにはシナリオが40種類ほど入っていますが、そのうち喘息、アナフィラキシーショック、出血性ショック、肺水腫、心不全、不整脈、心停止、無気肺など35種類ほどを3日間で実施します。 加えてシミュレータだけでは足りない部分について講義を行います。例えばアナフィラキシーショックのシミュレーションを行った場合、講義では何故その症状が出るのか、最近の治療法は何か、などを説明します。 かなり密度の濃い研修だと思います。






