『 革新的な解決手段の結果 』
全般的に、この構造化されたレジデントプログラムによって、入職時研修期間が標準化され、臨床生産性も増大しています。
講師や臨床ユニットのリーダー達は、臨床での処置に対してより準備がなされ、スキルを習得するプロセスがより一定となっていると報告しています。高機能患者シミュレータは、看護師の臨床面での自信、能力、特定の臨床状況における看護実践への準備度を実際的に判定するサポートとなっています。このシミュレータはまた、看護師のパフォーマンスや能力を、さらに重要なことに看護師の姿勢や行動を評価する機会を提供してくれます。
これまでのところDHMCでは231人の新卒看護師を採用し、レジデントプログラムにより訓練してきています。プログラムについての知識が増すにつれ、DHMCに就職を希望する、あるいはレジデントプログラムを希望する新卒看護師の数は、3倍以上になっています。何故、DHMCで働くことを希望したのかという質問に対し、新規に採用された看護師達はレジデントプログラムが選択した第一の理由と語っています。
3年を超える看護師レジデントプログラムについての評価には、量的な面と質的な計測が含まれます。看護師レジデントプログラムを通し行われた質的な計測には、1)看護実践に対するself-efficacy(自己効力感)、2)毎週自己報告される一人で看護実践をする自信、能力、準備度についての全般的なレベル(アナログスケールを使った自己評価)が含まれています。Casey-Finkによる新卒看護師の調査によれば、看護師レジデントによる看護師の経験についての自己申告による認識を計測しています(1999、2002 コロラド大学病院)。量的な計測データとして、1)個々の看護師レジデントについての入職時研修期間、2)看護師レジデントの定着率及び転職、3)看護師の転職の減少に伴い回避されたコストといったことが集められています。
毎週、看護師レジデントは、その週に学習・実践した疾患進行にあった症状や臨床情況に合わせ、独力で患者さんの看護をする自信、能力、準備度のレベルを自分で点数を付けます。個々の項目は10cmのビジュアルなアナログスケール(極端に低いレベルから極端に高いレベルまで)によって計測されます。独力での看護実践をする自信、能力、準備度平均値は、プログラムの開始時と終了時で37%から42%に改善されました。Paired t-test(対応のあるt検定)に基づき、この変化は統計的に有意(p<0.001)なものでした。このself-efficacy(自己効力感)データについての初期比較は、レジデントによる自己アセスメントとSimulated Structured Clinical Simulation(SSCS)ツールを使ったシミュレーションセンターの教員によるパフォーマンス評価との間に相関関係の可能性があることを肯定しています。
SSCSツールによって測定されるパフォーマンス評価が示すこと:
1)熟達度及び自信の増加するパターンが継続
2)即座に考える能力の向上
3)複雑な臨床情況で問題を解決するためにリソースを活用
4)学習ツールとして内省を利用する能力の向上
5)コミュニケーションのための技術の利用が向上し、チームパフォーマンスを向上
Nurse Resident’s Readiness for Entry-into-Practice Competence Questionnare(看護実践能力のための看護師レジデントの準備度についての質問集)を使って3年以上に渡り成果が計測されました。
この質問集には、Self-Efficacy for Professional Nursing Competencies Instrument(Babenko-Mould, et. al、2004)から採用された53項目のスケールがあり、12週間のプログラムの開始時と終了時で独力での看護実践について準備ができているかについて看護師レジデント自身のレポートに有意な改善(sig.<0.001)が見られたことを裏書きしています。
質問には、1)看護師/client(利用者)の関係(5項目)、 2)疾患/傷害の予防(5項目)、 3)治療/サポートケアー(43項目)が含まれています。
スコア面で最も重要な変化が起こった項目は、1)看護処置を提供するために医療機器を使うこと、2)臨床データを統合すること、3)健康状態が急変する中で臨床的な決定をすることでした。
これらの発見は最近の新卒の能力に存在する知識面の重大なキャップを認識する上でDHMCにとって有益なものとなっています。これらの発見は、看護学校の教員達にも共有され、アカデミックな学習ニーズへの取り組みや、看護力を高める努力がなされています。
Paired t-testによる分析によれば、Self-efficacy(自己効力感)のスコアに(プログラム開始時では平均71.1、SD=11.sであったものが、終了時では平均84.5、SD=7.9と)顕著な改善(p<0.001)が見られました。Revised instrumentの精神心理測定テストが行われている最中ですが、その初期の結果はinstrumentは信頼できるというものでした(クロンバックα=0.98、n=124)。Self-efficacy(自己効力感)について看護師レジデントが持っている印象得点は、SSCS評価ツールによるシミュレーションセンターのインストラクターによって評価された看護師の能力と相関していることを初期アセスメントは示しています。
看護師レジデントプログラムが導入されて以降、新卒者の定着率が有意に改善されています。このプログラムを始める前の新卒後1年定着率は83%、2年定着率は57%でした。
新しい看護師レジデントプログラムの導入以降、1年定着率は90%に、2年定着率は76%となっています。
この結果、一般医療部門/外科系ユニットでは欠員率が非常に低くなり、このプログラムの開始前と比べ二桁代の大きな減少となっています。同時期に地域にまたがる患者さんのアクセスにつての問題に対処するために一般病床/外科系病床で24以上のベッドがオープンされたことを考えると、これは最も顕著な業績であると言えます。
どの専門分野においても新卒看護師のための入職時研修期間は短縮され、かつより予測可能なものになっています。入職時研修期間のメディアン値は、【1】一般医療/外科系では14.7週、 【2】特別なケアー領域では18週、【3】集中治療(ICU)では26.5週(成人ICUでは24週、小児ICUでは22週、NICUでは34週) でした。
新卒看護師の2年定着率を考えると、病院は$3,542,000の支出が避けられたことになります。転職に関連する重要な成果には、
【1】シミュレーションや臨床現場において早い段階で問題となるであろう事柄が検出され、その対策が的を得た形で行われる、
【2】後で問題職員(欠勤、標準レベル以下のケアー等)となるであろう人物を早い段階で発見し、DHMCにおいてキャリアの早い段階でサポートする(場合によっては、お互いに納得した形で退職)。
【3】トレーニングのintensityを理解した看護師はDHMCにとどまり、DHMCでキャリアアップをはかる。
【4】シミュレーション教育のパフォーマンスに触発され、看護師のための組織的なスクリーニング方法の調査が開始されたといったことがあげられます。
全ての臨床分野において入職時研修期間が短縮され、臨床面や管理面のリーダーからの逸話的フィードバックから、看護師レジデントは完全な患者さんへの役割分担をより担えると予測されています。看護師レジデントはスキル面でより準備されて臨床現場に来ていること、そしてパフォーマンスへの関心は早くから判ることを看護師のリーダー達は報告しています。そのため看護師の教育にあたるものは、より早くからその学習を、またより効果的にサポートすることができます。初めにベストフィットが見いだせなかった看護師は、他の専門分野へと指導され、非常に成功しています。
看護師レジデントへのフィードバックによって、このプログラムを受ける機会があったことがとても幸運でしたと看護師達は感じていることが示されています。シミュレーションによる体験が、リソースを活用することの重要性を理解する上で非常に重要な助けとなったこと、適切なリソースをどうやって認識するか、またどうやってアクセスするかの面でも重要な助けとなったことを看護師レジデントはレポートしています。看護師レジデントプログラムがあるがゆえに、DHMCを職場として望むようになったともしばしばレポートしています。看護師レジデント達は、学習体験を“楽しかった”“非常に有益”“ハンズオン学習の機会”“ばらばらであったものを集約する上で役にたった”“シミュレーションで体験したことが臨床現場で発生した”と述べています。
全般的に96.5%がシミュレーションセッションについてのSSCSツールで“非常に良い”または“良い”と答えており、78.5%が追加的、あるいはさらに進んだシミュレーショントレーニングを希望していました。
DHMCにおける看護師レジデントプログラムは、一定の、信頼性のある入職時研修を提供し、看護師の能力向上を評価するための能力をサポートします。標準化された経験と評価を提供し、早い段階で問題を検出し、その治療も行います。
またその導入は、能力があり、プロフェッショナルな、経験のある看護師を確保する上でのコストを減少させるため、財政面でも効果的な決定と言えるでしょう。
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