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シミュレータを取り入れた実習 Reflective Learningの施行

掲載:2008年 / 文責:クリティカル・ケア部

METI社が主催するHPSN08が2008年2月18日~21日までの4日間の日程で開催されました。
HPSN08とはHuman Patient Simulator Network 2008年の略で患者シミュレータ ユーザーの祭典です。今年のHPSNはアメリカ合衆国フロリダ州のタンパ市にありますマリオットホテルで開催されました。タンパ市はフロリダ州の西海岸にあります。日本とは14時間の時差があり、日本からはシカゴなどを経由し、飛行機で約15時間近くかかります。

最近では松井秀喜選手の所属しているプロ野球チーム、ニューヨークヤンキースのキャンプ地(レジェンドフィールド)として日本でも有名です。この他にもプ ロレスファンにとってはプロレスの神様カールゴッチの自宅があった場所としても名が知られています。地理的には北緯27度58分15秒、西経82度27分 53秒に位置しており、奄美大島と同緯度です。このため真冬の2月でも晴れていれば半袖で大丈夫なほど暖かく、実際に私もHPSNの会場になりましたマリオットホテル前で水着でモーターボートでレージャーを楽しむ人達をみかけました。

HPSN08には1200人以上の患者シミュレータに関わる人達が訪れ120を超えるワークショップが2日目より3日間、14の会場に分かれて行われました。HPSNの会場はマリオットホテルの2階及び3階の会議場や宴会場等が貸切で行われ、ワークショップ以外にも、

METI
  • 2月18日の9時からはPRE‐CONFERENCE TRANING COURCES(有料)が行われました。
  • 2月19日は朝9:00からMETI社のLou Oberndorf社長兼CEOによるPlenary Sessionが行われました。
    またこの日は午後6時30分よりWelcome Reception。2008年のテーマは「Sandals & Sand」。サンダル履でアロハシャツの着用が推薦されていました。
  • 2月20日の午前10:15にはアジアやヨーロッパ等の地域で分かれ、Regional Meetingが行われました。アジアのセクションでは中国首都医科大学のチャン先生がHigh fidelity simulation in medical education in China mainland(中国における高機能シミュレーション教育)について講演されました。
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ワークショップ全体としては医師、看護師を始め、救急救命士や学校関係者等を対象に実際の病院や看護学校等の教育現場での器械の使用方法を始め、空軍、陸軍での使われ方、NASAでの無重力訓練の様子、シミュレーションセンターの運営方法や予算の取り方まで多岐に渡っています。私も幾つかのワークショップに参加しましたので、その中の1つを紹介させていただきます。

私が参加したのはシンガポールにありますITE:Institute of Technical Education の所長のタン先生によるLearners’ Satisfaction and Confidence and the Use of Reflective Journaling During Simulation-Based Trainingに参加しました。

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1.ITEにおけるトレーニング方法

buri-fhinngu最初にシミュレータを使用したトレーニング方法の説明がありました。ITEではブリーフィング、シミュレータを使用した実習、デブリーフィングの3つのステージでトレーニングが行われています。 各セッションには14~20人の学生が参加し、時間は60分~90分間となっています。シミュレータを使用した実習には2、3人の学生が参加し、他の学生達はデブリーフ・ルームからシミュレーションの様子を観察・評価します。シミュレーションが終わると、学生はその様子のビデオ再生等を使用し徹底的な討議が行われます。なおデブリーフ・ルームにはFacilitatorが配置されています。

ブリーフィングでは患者さんの年齢や身長等の特徴やどのような背景で搬送されてきたかの説明

2.Reflective Learning Journalの使用

ブリーフィングでは患者さんの年齢や身長等の特徴やどのような背景で搬送されてきたかの説明(Reflective Learning Journalに記述)があります。

[ 例:患者さんは25歳の建設作業員です。患者さんは建設現場の近くで同僚とお酒を飲みながら賭けをしていましたが、一人勝ちをしたために面白く思わない同僚から暴力を受け、頭部を木製の建設資材で殴られました。]

学生は患者さんの情報を元に、患者さんのためにどんな処置をしたら良いか、どんな問題や課題が発生する可能性があるか等を考えReflective Learning Journalに記入します。

ロールプレーイング中に起きたインシデントの中から1つを選びReflective Learning Journalに記述

次にシミュレータを使用したロールプレーイングを行います。デブリーフ・ルームに残った学生達はシミュレーションを観察し、正しく処置が行われているかの評価を行います。
最後にDebriefingを行います。ロールプレーイング中に起きたインシデントの中から1つを選びReflective Learning Journalに記述します。インシデントが何時どのように起こったかを患者側と看護師側からの両面から考え、このような出来事を防ぐためにはどうしたら良いかを討議し、Reflective Learning Journalに記入します。

学生に患者さんの背景的事項を与えましたが、実験群の学生はReflective Learning Journal を使用しシミュレーショントレーニングを行いました

3. Reflective Learning Journalについての実験

1年次び2年次の看護学生の中からランダムにコントロール(Reflective Learning Journalを使用しない)群、および実験(Reflective Learning Journalを使用)群に学生を分け、2006年10月12月に調査を行いました。

学生は、4つのセッションにわたる8時間のシミュレーショントレーニングに参加しました。

全ての学生に患者さんの背景的事項を与えましたが、実験群の学生はReflective Learning Journal を使用しシミュレーショントレーニングを行いました。トレーニング終了後に学生に対しアンケート調査を行いました。アンケート結果によればReflective Learning Journalを使う事により学生の満足度が上がり、自信も大きく向上する事がわかりました。またシミュレーショントレーニングの利点を学生に気が付かせることがわかりました。

4. 結論

シミュレーション教育はいろいろな教育方法を提供する事ができ、シミュレーション教育の利点は明らかであると述べられています。Reflective Learning Journalを使用することにより体系だった学習ができ、ベテランの看護師のように考えることができる。また改善すべき点が明らかになり、自分自身のパフォーマンスを向上するために積極的に学習するようになる。しかも楽しく実習に参加できること等を挙げられていました。最後にセッションの時間は60分では短いので90 分まで延長する必要がある。Reflective Learningのコンセプトのためにはトレーニングスタッフを配置する必要がある。記述には簡単な言葉を使用する。等の注意する点を述べられていまし

今回私は初めてアメリカを訪れ、日本との違いにとても驚かされましたが、日本では経験できない多くのことを経験させていただき非常に有意義な日々でした。

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