デューク大学 ICU人工呼吸器プロトコール Ⅴ 成人に対する人工呼吸のプロトコール(2)

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成人に対する人工呼吸のプロトコール(2)
B. 部分的人工呼吸サポート―部分的人工呼吸サポートのプロトコールは、患者自身の換気に使う仕事量を考慮した上で、人工呼吸サポートがなされた方が利点が多いと考えられた場合に適用される。部分人工呼吸サポートのモードは、人工換気からウィーニングに使われる。
1.部分的人工呼吸サポートの導入―部分的な換気補助モードは次の状態が全て当てはまる場合に適用される。
a) PEEP≤10まで下げられ、FiO2≤0.6まで下げられた場合(「追加2 FiO2/PEEP対照表」を参照)
b) pH≤7.30
c) 患者に吸気努力があり、それが安定(reliable, regular)した呼吸ドライブをもっている
d) 患者の胸部X線が安定、もしくは改善している
e) 患者がプレッシャーサポート(PSV)、プレッシャーアシスト(PA)、もしくは補助のない自発呼吸でも耐えられる
f) 患者の循環動態が安定しており、ionotropes、
もしくは昇圧剤を使用せずにドーパミン<10µg/kg/分で充分であると判断された場合
2.部分的人工呼吸サポートのプロトコール
a) モード選択―RCPは以下の換気モード、もしくはテクニックの中から適切なものを選択して設定する
ⅰฺプレッシャーサポート(PSV)
ⅱฺプレッシャーアシスト(PA)
ⅲฺSIMV+PSV
ⅳฺ完全な、もしくは部分的な換気補助後のtrach collarもしくはTピース試験(T-piece trial)
b) プレッシャーサポート/プレッシャーアシスト―RCPはプレッシャーサポート、もしくはプレッシャーアシストを部分的人工呼吸サポートのモードとして主に選択する。モードの選択については、患者の換気に対する耐久性(tolerance)や快・不快(comfort)、同調性(synchrony)を考慮しておこなう。
ⅰฺ吸気圧の初期設定は、呼気1回換気量が5~10ml/kgとなるよう調節する。その際、吸気圧が25cmH2O以上にならないよう留意する。
ⅱฺ吸気圧は患者の快・不快(comfort)を診て調節する。
c)SIMV+PSV―SIMVとPSVは損なわれていた呼吸ドライブが急激に回復してきた患者に対して、ウィーニングをおこなうために用いる。(例:麻酔後、過量の薬物服用後)
ⅰฺSIMVの換気回数の初期設定はボリュームA/C、もしくはプレッシャーA/Cの換気回数と同値にするか、もしくは10~30回/分の範囲内で、目標とする動脈血ガスのpH値を達成するように調節する。
ⅱฺPSVは自発呼吸の補助のために、5~10cmH2Oの範囲で設定する。
ⅲฺSIMVの呼吸回数は1~4時間毎に評価し、4回/分になるまで、2回/分ずつ設定を減らしていくことができる。(「追加1 耐久性(tolerance)の基準」を参照)
ⅳฺRCPは、1~2時間、換気回数4回/分で患者が耐えられる場合に、抜管できるかどうか評価する。(「追加3 抜管の指標」を参照)
d) Trach Collar/Tピース試験―Trach Collar/Tピース試験は部分的人工呼吸サポートモードと組み合わせて実施することにより、長期に人工呼吸管理をされている患者(すなわち21日以上)に対してウィーニングを容易にするための自発呼吸試験である。Trach collar/Tピース試験は機械換気補助がおこなわれている間、徐々に患者の自発呼吸の時間を長くするというものである。
ⅰฺ患者から人工呼吸器を取り外し、持続的な霧状のエアロゾル(cool-mist aerosol)を代わりに設置する。フロー、FiO2を目標とするSpO2に到達するまで調節する。
ⅱฺ患者の耐久性(tolerance)を評価する(「追加1耐久性(tolerance)の基準」を参照)
ⅲฺRCPは以下の条件の場合に人工呼吸器を再度装着する:
・患者がこの試験への耐久性(tolerance)の基準に適合しなかった場合
(「追加1 耐久性(tolerance)の基準」を参照)
もしくは
・翌朝、同じようにTrach collar/Tピース試験を開始する予定であるが、
夜間は患者を休ませる意図がある場合
人工換気補助のレベルは、人工換気のパターンが安定していること、患者に疲労が認められないこと、そして患者にとって快適であることを確かめながら調節する。
3.患者の評価と人工呼吸器のモニタリング
患者の評価及び人工呼吸器のモニターは、患者の臨床状態及び目標への進展度を判断するためにおこなわれる。
a) RCPは以下の時に患者を評価し、人工呼吸器をモニターする:
ⅰฺ機械換気を開始した直後
ⅱฺ人工呼吸を開始してから約6時間後
ⅲฺ換気補助のレベルが変更された場合、もしくは分時換気量や平均気道内圧に影響を与える可能性のある設定が変更された場合
ⅳバイタルサインや酸素化において急激な悪化によって示される患者の状態に急変があった場合(「Ⅴ 成人に対する人工呼吸のプロトコール D」を参照)、もしくは換気状態に変化が見られる場合
b) 患者と人工呼吸器のアセスメントは以下の項目をおこなう
ⅰฺ機械換気のパフォーマンスの評価:
・設定とモニター値
・グラフィック―波形とループ(可能ならば)
ⅱฺ人工呼吸サポートに対する患者の反応を評価する
(以下が含まれるが、これだけに限定されるものではない)
・呼吸音、バイタルサイン、身体所見
・動脈血ガス(可能ならば。「Ⅲ プロトコールの適用について C」を参照)
・非観血的モニターのデータ(例:SpO2とETCO2)
4.日常の患者アセスメント:自発呼吸試験(Spontaneous Breathing Trial: SBT)
RCPは部分的な換気補助を受けている患者に対して、このSBTを毎日おこなう。SBTは患者が抜管できるかどうか、もしくは人工呼吸サポートの終了を判断する材料となる。
a) SBTは低いレベルのCPAP(5~8cmH2O)、もしくはPEEP5~8cmH2O+PSV5cmH2Oにておこなう。人工呼吸器のFiO2とSBT時のFiO2は同値とする。
b) RCPは初めの数分間(例:5分間)、SBTの様子を患者の側でモニターする
c) 患者がSBTに5分間耐えることができたら、SBTを更に少なくとも30分間は継続する。ただし、120分を超えないように留意する。この試験に耐えられた患者は抜管を考慮する(「追加3 抜管の指標」を参照)
d) SBTに失敗した患者は、SBT前に設定していた数値で部分的な人工換気補助を継続する
5.抜管
a) RCPは「追加3」にある抜管の指標に見合った患者に対しては、抜管もしくは人工呼吸サポートの終了を提案する
b) RCPは医師の処方箋に応じて患者から抜管する
PAGE1 はじめに
【 Duke University Hospital Department of Respiratory Care Services 】
PAGE2 マニュアル:集中治療/Ⅰ 目的/Ⅱ プロバイダ/Ⅲ プロトコールの適用について
PAGE3 Ⅳ 目標/Ⅴ 成人に対する人工呼吸のプロトコール(1)
PAGE4 Ⅴ 成人に対する人工呼吸のプロトコール(2)
PAGE5 Ⅴ 成人に対する人工呼吸のプロトコール(3)/追加1/追加2/追加3
PAGE6 追加4/添付資料PDF






