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「第2回 Helioxの治療上の利点と臨床的な問題点について」

【解説】John D. Davies氏
Duke University HospitalのRRT 、Clinical Research Coordinator

 

質問

日本国内でHelioxを使用した例というのはあまり聞かれませんが、世界的にはどうでしょうか。どのような研究がされていますか?
答え

Schaefferにより1999年のスタディがなされています。挿管された喘息患者さんについてのスタディです。大きな年齢分布で、レトロスペクティブスタディです。基本的に人工換気開始直後の2時間にHelioxを供給しています。エンドポイントはA-a gradient(A-a格差)の変化でした。彼が発見したことは、Heliox使用群ではA-a格差が有意に低下しているということです。

スライド1   スライド2

質問

「渦巻き効果(The Spiral Effect)」とは何ですか?
答え

「一定量の」Helioxの使用を開始することで、酸素化の改善という効果があらわれます。問題は高いFiO2が必要になることがあることです。スライド3 その場合、ヘリウムの供給量が減ってしまいます。ただ重要なことは、早い時期にHelioxの使用を開始することができれば、ガス交換が促進され、その結果FiO2が減少し、さらにHelioxを増加できます。
このようにしてポジティブな効果を得ることになります。この「渦巻き」効果を得ることにより、Helioxを増加させることで、酸素化を増し、同時に投与するヘリウムの量を増加させることができます。

質問

喘息患者さんに対するHelioxの効果を教えてください。
答え

1995年のKassによる、喘息状態で救急部に送られてきた12人の成人患者さんについてのスタディがあります。 pHは低く、PaCO2は高い状態です。60%ヘリウム、40%酸素あるいは70%ヘリウム、30%酸素が投与されています。
5人は人工呼吸器、7人はフェースマスクによる換気をされています。(現在米国ではフェースマスクをつかってHeliox投与を使用している施設が非常に 多くなってきています。)彼が発見したことは、1時間以内にPaCO2が平均10.4低下、pHは7.23から7.32に増加したことです。しかし興味深 いことは、「反応のない患者さん」は非挿管患者グループにおいて認められたことです。

スライド4


【図の解説】PaCO2が左側に示されています。
左はHeliox投与前。右がHeliox投与後。全ての症例でPaCO2の低下が見られます。
発症24時間以内の患者さんが□で、96時間以上が■であらわされています。
発症24時間以内の患者さんの方が、Helioxによる効果が高いという結果が出ています。

 

 

質問

COPD患者さんに対してはどのような効果があるのでしょうか?
答え

2003年、DiehlによってCOPD患者さんの呼吸についてのスタディがなされています。予見的、ランダム、クロスオーバースタディで、ウィーニング期の13人の患者さんが対象です。明らかにこの時期では、患者さんは内因性PEEPに打ち勝って人工呼吸器をトリガしようとしています。1人の患者さんを 除きHelioxにより呼吸仕事量が減少しています。

スライド05

【図の解説】
左側のスケールに呼吸仕事量が示されています。左側がエアーと酸素、右側はHelioxを使った患者さんの呼吸仕事量です。一人の患者さんを除き、Heliox使用例で呼吸仕事量が減少しています。

 重要なことは、殆どの患者さんで呼吸仕事量が減少したことです。何故なら、COPD患者さんは予備力が多くないからです。自分の内因性PEEPに打ち勝ち 人工呼吸器をトリガーするだけでも仕事なのです。呼吸仕事量を減らすことができれば、酸素要求量を減らし、ウィーニングをスピードアップできます。

また、呼吸仕事量と共に内因性PEEPに対するHelioxの効果について、2003年にJullietがスタディをおこなっています。
人工換気を受けてい るCOPD患者さんにおいて、内因性PEEPとエアートラップがHelioxの使用により減少していることを彼は発見しています。

 【図の解説】
左のグラフはエアートラップガスの量を、右側はYピースで測定した内因性PEEPを示しています。グラフは同じ傾向を示しています。
エアートラップが減ったことにより、内因性PEEPも減少しています。エアーと酸素混合ガスでZEEP(PEEP=0)をつくったのがグラフの左端です。
その右が30分 Helioxを投与。その右が30分エアーに戻したもの。右端は人工呼吸器でPEEPをかけたものです。Helioxを投与することでエアートラップが劇 的に減少し、エアーにするとエアートラップが蓄積していることが判ります。人工呼吸器でPEEPを加えるてエアートラップが減少しています。これは重要で す。エアートラップが起きた場合、患者さんは人工呼吸器をトリガーするため、それらに打ち勝たなければならないからです。内因性PEEPでも同じことが起 きています。

 

 

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