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ディスポーザブルバッグ・バルブ・マスクを医療安全管理の一助に

ディスポーザブルバッグ・バルブ・マスクを医療安全管理の一助に

 

 

今、医療安全は医療機関にとって最も関心の高い課題の一つです。バッグ・バルブ・マスク(BVM)でも組み立て間違いや動作チェックの不備によるインシデントが報告されており、厚生労働省(1)、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)(2)、公益財団法人日本医療機能評価機構(JCQHC)(3)からもBVMに関する安全情報が出されています。

今回はディスポーザブルBVM採用による医療安全対策をされている、奈良県総合医療センターの木下久美子医療安全推進室副室長と、実際に現場で運用されている黒田和子病棟師長のお二人にお話しを伺いました。

 

(1)

医薬品・医療機器等安全性情報 No.301、平成25年(2013年)

5月、厚生労働省医薬食品局
(2)

PMDA医療安全情報 N0.38 2013年5月、

独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医療安全情報室
(3)

医療事故情報収集等事業 医療安全情報No.74 2013年1月、

公益財団法事日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部

 

 プロフィール

木下久美子医療安全推進室副室長

平成12年4月1日  旧奈良県立奈良病院勤務

平成25年4月1日  医療安全推進室副室長就任


 

地方独立行政法人 奈良県立病院機構 奈良県総合医療センター

概要 

診療科 21科
病床数 430床(一般病床400床(うちNICU9床)、
救命救急センター30床(ICU8床、HCU22床))

臨床研修病院、救命救急センター(三次救急)、地域周産期母子医療センター、地域がん診療連携拠点病院、 災害拠点病院、へき地医療拠点病院、地域医療支援病院
沿革 

昭和39年4月1日  奈良県立医科大学附属奈良病院として診療を開始
昭和50年4月1日  奈良県立奈良病院に移管
昭和52年10月8日 現在地に移転、外来診療を開始
昭和57年9月24日 救命救急センター診療開始
平成22年4月1日  医療安全推進室開設
平成24年4月1日  救急科、救急外来を開設

平成26年4月1日  地方独立行政法人奈良県立病院機構 奈良県総合医療センターに改組

(奈良県立奈良病院年報2013、奈良県総合医療センターホームページより抜粋)

 

 

 

ディスポーザブルバッグ・バルブ・マスクを医療安全管理の一助に

 

Q:ディスポーザブルBVMの導入を検討された経緯についてお聞かせください。 

木下

平成24年4月の大阪でのインシデント*をきっかけに、ディスポーザブルにしたほうが良いのではないか、という話からスタートし、医療安全管理委員会での検討は7月頃でした。救命救急センターを持つ医療機関としては必要性があると判断し導入が決定されました。
前任者が全病棟のBVM使用状況の聞き取り調査を行いました。使用しているBVMの種類は様々でした。数も十分ではありませんでした。調査結果を医療安全管理委員会で検討しました。使用頻度が全体に少なく、一般病棟は特に少ないことがわかり、大阪と同じようなインシデントが発生してもおかしくない状況であるという判断もありました。CEさんからも安全管理のために導入は必要だという意見をいただきました。

ディスポーザブルということでコストも必要となってくるのですが、比較的スムーズに決まったようです。

黒田

使用頻度の少なさから導入できたのではないでしょうか?何度か使用頻度についての確認がありました。

木下

使用頻度が少なければ、コスト増には繋がりません。ただ、リスクは高くなるので、安全性、利便性を考えるとディスポーザブルが良いと思います。

*平成24年(2012年)4月10日に大阪で発生した、救命課程において使用されたBVMが誤って組み立てられていたため 

患者の換気が十分に行えなかったインシデントが、大きく報道された。

 

Q:ディスポーザブルBVMの採用以前はどのような状況でしたか?

木下

BVMを使用したら、現場で分解して、洗浄、乾燥までを行ない、中央材料室に滅菌に出していました。  

黒田

緊急処置を終えてからの作業でもあり、回収して洗浄し乾燥させるという、滅菌に至る作業に時間を取られていました。

木下

バッグの内側の乾燥に時間がかかっていました。乾燥させる工程が必要なため、使用してもすぐには滅菌に出せません。ストックが十分ではない現場もあり、何日かBVMがない状況があったかもしれません。

黒田

そのために、使用頻度が高い病棟ではBVMの予備を持っていましたが、保有しているBVMをすべて救急カートに収納していたために、十分な点検がなされていなかった可能性は高いと思います。

 

Q:その当時、BVMの管理はどのようにされていましたか?

木下

購入やメンテナンスは各現場で行なっていました。前任者が聞き取り調査していますが様々でした。医師や看護師も、BVMの作動原理についての教育訓練を受けていたわけではありませんでした。滅菌後の組み立てについても、マニュアル管理ではなく、看護師から看護師へ引き継がれている状況でした。正しい知識を持つ看護師はいますが、正しく組み立てられているかを責任者がチェックするという機能がありませんでした。

黒田

リユースは使用の限界がいつなのか明確ではありません。劣化しつつあるものの、使用できないというわけではなく、棄てていいのか迷うことがありました。点検時にはまだ使える状態であったものが、いざというとき使えず慌てることもありました。

 

Q:ディスポーザブルBVM導入後はいかがですか?

木下

導入前の状況を知っている人は、ディスポーザブルを高く評価していると思います。片付けや、分解して洗浄、乾燥し組み立てるというストレスがなくなりました。

黒田

使用後は、そのまま棄てることができ、使用後の手間がなくなりました。また同じ患者さんに使用する可能性がある場合は、ベッドサイドに置いておき繰り返し使用できるため、無駄が少ないという利点もあります。

木下

小児科病棟では在宅でBVMを使用する子供が入院してきたときは、新しいBVMを用意します。退院の時には新しい物を持って帰ってもらっているようです。在宅用で患者さんもBVMをお持ちですが、新しくなるので良いと思います。

 

Q:現在、BVMの管理はどのようにされていますか?

木下

SPDで納入すれば、使った数など簡単に把握できると思いますが、導入の初期のため、使用頻度や安全に使用できているか、ディスポーザブルとして適切に使用されているのかも把握できるため、管理はすべて医療安全推進室で行なっています。使用後は医療安全推進室に請求してもらい、こちらから払い出しをしています。

 

Q:アンブ蘇生バッグSPURII についてどのようなご感想をお持ちですか?

木下

SPURII に決定した理由は、ひとつは奈良県立五條病院で採用されていたことです。同じ県立病院のため導入しやすく、県立病院間で異動があっても対応できる安心もあります。もう一つの理由は、新生児用、小児用と成人用が同じモデルで統一できるということでした。 

黒田

外来、病棟や救命センターに聞いてみましたが、感染症患者でも安心して使用できる、そのまま廃棄できるため使用が容易、清潔感がある、慣れれば使用に問題はないといった意見がありました。反対に、以前のBVMに比べると軽すぎる、マスクがフィットしにくい、換気ができているか実感として分かりづらい、使用時に硬く感じるスタッフと柔らかく感じるスタッフがいたという意見がありました。

マスクフィットしにくいのは、セットにマスクが1サイズしか入っていないからかもしれません。救急科では袋に入れた状態で3つのサイズを救急カートに掛けてあります。色分けでサイズの区別がありますが、少しわかりにくいように感じます。

 

Q:医療安全管理を行っていく上で、アイ・エム・アイや他の製造販売業者へのご要望などがあればお願いします。

木下

製品に不具合などが起こった場合は、原因追求と対策について速やかに教えてください。
研修については、業者の方に研修をしていただけると、使用のポイントなど明確に指導していただけるため、ぜひお願いしたいです。SPURII は今までに、導入の時と新規採用者を対象とした研修を2回実施していただいています。新規採用の人も使用しなければ忘れてしまいます。30分程度で1日に何回か入れ替わりに全員が参加できる研修をしていただけるとありがたいです。製品を手に取りながらできれば、なお良いと思います。よくばりですが、それを何日か実施していただければ、より多くのスタッフが研修を受けることができ、医療安全にもつながるのでとても良いと思います。

黒田
勤務中の研修で同じ所属から多くのスタッフが参加できるとはずみがつきます。「帰ってきたら次の人が行く」というように、交代であれば参加もしやすくなります。その日に参加できなければ、次は参加しようという気持ちにもなります。参加後は、「行って良かった」と皆言います。簡単な研修内容であっても、「ああ、そういうことだったんだ」と改めて思うことが必ずあるようです。

木下

作動原理など、自分たちでは伝えることができない部分も説明してもらえるので忘れにくいところもあります。研修の内容によっては、アイ・エム・アイさんやメーカーの方にもお願いしたほうが良いことがあります。
これからもよろしくお願いします。

 

今日はお忙しい中ありがとうございました。

 

文責 ORCC/教育部 佐藤純一

2014年10月

 

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