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ワッツモナール(8) 岩手県立胆沢病院 「圏域の搬送はモナール」

岩手県立胆沢(いさわ)病院は、岩手県胆江(たんこう)医療圏の中核的病院として、地域の公私医療機関との機能分担と連携を図りながら、一般医療のほか、救急医療及び高度・専門医療を担う総合病院です。今回は、CEセンター主任 菊池 雄一様にカタログだけではわからないMONNAL T60の実際のところについてお話しを伺いました。

 

岩手県立胆沢病院 沿革
昭和11年1月: 医療産業組合による購買利用組合胆沢病院として開設
昭和11年11月: 岩手県医薬購買販売利用組合連合会に統合
昭和16年12月: 岩手県信用購買販売利用組合連合会に移管
昭和19年12月: 岩手県農業会に移管
昭和25年11月: 岩手県農業会から岩手県に移管
岩手県立胆沢病院として業務開始
平成8年10月: 新病院移転新築工事完成
平成9年3月: 新病院の業務開始
岩手県立胆沢病院 ホームページ http://www.isawa-hp.com/
 
CEセンター 主任 菊池 雄一様 御略歴
平成3年3月: 東北医療福祉専門学校 臨床工学技術科卒業
平成3年4月: 千葉県船橋市 船橋二和病院勤務
平成4年1月: 宮城県仙台市 仙台徳州会病院勤務
平成8年4月: 岩手県立中央病院勤務
平成12年: 岩手県臨床工学技士会 副会長就任
平成18年4月: 岩手県立大船渡病院勤務
平成22年: 岩手県臨床工学技士会 会長就任
平成23年: 一般社団法人岩手県臨床工学技士会設立 設立時代表理事
平成25年4月: 岩手県立胆沢病院勤務
平成26年9月: 全国自治体病院協議会 臨床工学部会 部会長就任(現在に至る)

 

 


 

MONNAL T60 導入の経緯

IMI: 岩手県立胆沢病院の役割について御紹介ください。

菊池様: 岩手県に県立病院は20施設程あり、その中で県南地域、特に胆江地域の中核的な基幹病院として機能しています。胆江地域の公私病院、医療機関と連携しながら、総合病院として運営している病院です。
診療科は21科あり、病床数は346床、うち一般病床が337床、結核病床が9床になります。
胆江地域には、県立病院として胆沢病院と江刺(えさし)病院があり、江刺病院はベッド数が若干少なく、地域病院として地域医療に貢献しております。江刺病院でも透析業務を行っており、臨床工学技士が1名勤務しておりますが、今年度より胆沢病院の職員として集約しローテーションしながら人材育成に取り組む予定です。胆沢病院と江刺病院で計5名の臨床工学技士が勤務しています。

IMI: CEセンターとして、血液浄化業務、人工呼吸器関連業務、心臓カテーテル検査業務、ペースメーカー業務、補助循環業務などを御担当されていますが、その中で人工呼吸器とのかかわりについて御紹介ください。

菊池様: 院内の人工呼吸器は、CEセンターで一元管理をしています。病棟で人工呼吸器を使用する場合、こちらで人工呼吸回路をセットアップし始業点検をした後、点検表を貼付して、貸出しています。治療が終わったらこちらに返却され、終業点検をしています。定期的な点検もこちらで行います。患者装着中は、毎日ラウンドを行い人工呼吸器の作動状況等を確認します。RST(Respiratory Support Team:呼吸サポートチーム)も立ち上がっており、週1回メンバーの一員として、ラウンドをしているという状況です。

IMI: 現在、院内全体で何台の人工呼吸器を管理していらっしゃいますでしょうか?

菊池様: NPPV用人工呼吸器が5台、挿管用人工呼吸器が6台あります。台数が不足すると、レンタルも利用しており、実際にはそれよりも多い人工呼吸器を使用する場合もあります。

IMI: 弊社のMONNAL T60をお使いいただいていますが、お知りになった経緯についてお聞かせください。

菊池様: 営業の原田さんからのカタログによる紹介でした。カタログだけでしたので、直ぐに評価はできませんでしたが、見た感じコンパクトでディスプレイが大きく見えました。当時、ベンチレータA(仮名)を使用していましたが、呼吸曲線が出ませんし、重量が重いというところがありました。MONNAL T60は、重量も軽いということでしたので、少し興味があり、実物のデモをお願いしました。実際に臨床で試用して問題も無く、医師にプレゼンテーションをして、MONNAL T60に切り替えましょうということになりました。導入するにあたっては、他商品と比較し、まず重量が軽いこと、MONNAL T60専用の呼吸回路ではなく汎用回路を使用できるということでランニングコストが現状に比べ削減できることが、公立病院として優位な点でした。同時に、乳幼児3kgから使用できるのもMONNAL T60が優位でした。

IMI: 最終的に決め手となったのは、重量が軽いということ、回路が汎用でコスト的に優位であること、それから乳幼児も使用できるということでしょうか。

菊池様: そうですね。ただ、PCV-SIMVを搭載していないということが、非常にデメリットでしたが、今後バージョンアップで使用できるようになるという説明があったので、医師と検討した結果、「搬送時にはVCVでも良いだろう」、「近日中にバージョンアップするのであれば、そこは問題無いのではないか」、ということで、導入するという結論に至りました。

IMI: 新規の患者さんに初めて使うときは緊急VCVモードを使っているのでしょうか?

菊池様: 導入時は使用する機会もある事を想定していましたが、緊急VCVモードはそれほど使っていません。今、当院の一番の用途は、院外への搬送と、院内では呼吸器管理患者の治療・検査への移動です。この場合、病棟で使っているモード・設定があるので、それに合わせて使うことが多い状況です。救急室に患者さんが運ばれてきて、挿管が必要な場合などは、実はそれほどMONNAL T60は使っていません。アンビューバッグで押して、そのまま病棟で通常使用している挿管用の人工呼吸器を準備します。そうではなく、AMI(心筋梗塞)などで救急搬送されてきて呼吸停止をしている場合など、MONNAL T60を使用しそのままカテ室に入りPCIを行う場合があるのですが、その時はたしかに急いでいるので、もしかしたら緊急VCVを使う場合があるかもしれません。MONNAL T60を知らない医師が使うときは、緊急VCVモードも良いと思います。慣れてくれば、操作はそれほど時間が掛からないですが、慣れない人、研修医には、良いのではないかと思います。我々、臨床工学技士が立ち会うのは搬送の時が主ですが、その場合は我々が操作しています。MONNAL T60に設定を移し替えて、装着して搬送します。勿論、臨床工学技士であれば操作は難しくないので、あまり緊急VCVモードは使いませんね。

IMI: 臨床で試用いただきましたが、実際の導入は、スムーズにいったのでしょうか。

菊池様: 特に大きな問題はありませんでしたが、本体のフローセンサの着脱ボタンの位置があまり良い位置ではないと思います。改善の必要があり、当時、私が自作してそこにカバーを貼りました。その後、別のカバーを付けるようになり、今は、押しにくくなって解消されています。もう一点ですが、呼気フローセンサの装着がただ押し込むだけでしっかりとした装着感がなく不安が残るので、ねじ込み式なり“カチッ”と嵌まるような構造なり改善が必要だと思う。実際使用しているときに簡単に抜けることがあったので、早急に改良して欲しいと思います。

IMI: その他何か御苦労されたことや、使い始めて思っていたことと違う点や、こういうことは良かったなという点はありましたでしょうか。

菊池様: 医師から言われたことですが、電源ボタンが分かりにくいということがあります。もう少し明確に電源はここですよと、大き目のボタンが必要なのではないかと思います。それと使用時ではないのですが、ずっと充電していると定期的に大きな排気音がしますので、その点を改善してもらえると良いと思います。良かった所は、回路に関しては専用回路ではなくいろいろと選択できますし、やはり、軽いというのは非常に良いことです。簡単に外して持って歩けます。搬送する時では、本体にベッドハンガーが付いているところも良いと思います。簡単に掛けられるので、非常に搬送しやすいです。それから、もう一点欠点についてですが、まだ検証というか、他のものと比較してはいないのですが、MONNAL T60は酸素消費量が若干多いような気がします。

IMI: ボリュームコントロールの時の酸素消費量でしょうか。

菊池様: そうですね。定常流が多いため、酸素の消費量が多いのではないでしょうか。

IMI: 定常流は、モードによって変動しますので、若干影響を受けているようです。

 

MONNAL T60 圏域の搬送に大きなメリット

菊池様: 今年5月に開催された第25回日本臨床工学会で岩手県立二戸病院がMONNAL T60に関連する発表をしました。「僻地医療における安全な患者搬送への取り組み」という表題*で、MONNAL T60と他社人工呼吸器を比較し、結果としてMONNAL T60を選ぶ、という発表でした。医師たちも、軽くて簡単に持ってきて直ぐに取り扱えるので非常に楽みたいです。

*「僻地医療における安全な患者搬送への取り組み」
発表:御領慎輔、播磨佑亮、八重樫雄一郎 (岩手県立二戸病院 CE センター)
掲載:第25回日本臨床工学会抄録集2015 頁:205

以下、抄録より抜粋。
・ 当院で搬送用人工呼吸器の更新に伴い、IMI社製 Monnal-T60(以下T60)を購入した。
・ 僻地医療における当院での安全な患者搬送に向けた取り組みとして機種選定および使用状況等を検証した。
・ 各機種のバッテリー駆動時間、重量等の移動性能、価格、オプション機能等を選定項目とした。
・ 各社バッテリー駆動時間はT60が2.5時間(外部バッテリー搭載で最大5時間)、T1が2.5時間(外部バッテリーで
 最大5.5時間)、トリロジーO2が3時間(外部バッテリ-搭載で最大6時間)、重量はT60が3.7kg、T1が6.5kg、
 トリロジーO2が5.6kgであった。
・ MONNAL T60は、電源投入後、ボタン操作1回で駆動が開始され、操作性が良好であり、院内での移動及び
 救急搬送を行ったが、問題なく使用できた。しかし、SIMV(PCV)モードがないなどの問題点も確認された。

IMI: 搬送で使用ということですが、主な用途は救急から、院内若しくは院外の他施設へ搬送という使い方がメインということでしょうか。

菊池様: そうですね。以前使用していたベンチレータAでは、人工呼吸器をベッドへ固定する場合、別体の専用ベッドハンガー必要で、そのベッドハンガーが鉄製で大きく重いので、結果としてベッドの上に人工呼吸器をそのまま置くことになってしまい、あまり固定が上手くいきませんでした。MONNAL T60の場合、ベッドハンガーが本体に付いているので、ベッド柵に簡単に掛けることができるので非常に楽ですね。それから、呼吸回路ですが、MONNAL T60は呼気弁やフローセンサが本体内部に付いている一方、他の機種では口元センサを使用している物もあり、そこが扱いづらいと思っていました。MONNAL T60は、非常にその点便利ですね。 そして、MONNAL T60は呼吸曲線が出ます。また、アラームインジケータが大きいので、搬送時は目立って非常に良いと思います。

IMI: ありがとうございます。しかし、いくつかの課題も抱えていますが・・・。

菊池様: 利点、欠点を比較しても、利点が勝っているのでMONNAL T60が良いということです。欠点については早急に改善をお願いします。

IMI: 医師や臨床工学技士さんだけでなく、患者さんに何かメリットはありましたでしょうか。

菊池様: 駆動音が静かなので、今後、病棟、在宅等で使用する機会がでてくれば、患者さんもそうですし御家族にとっても良いのではないでしょうか。

IMI: 病棟や在宅での使用の可能性について、御検討されていますでしょうか。

菊池様: 現在、PCV-SIMVモードが無いので、病棟で使用することはなかなか考えにくいと思います。ただ、様々な改善を経て、現在普及している呼吸器の肩代わりをMONNAL T60がしていく可能性はあるのではないでしょか。

IMI: 在宅の患者さんの場合、シングル回路のほうが良いという意見もあるかと思いますが、いかがでしょうか。

菊池様: 在宅の御家族としては、シングル回路は取り回しが容易ということはあるかもしれませんが、ダブル回路のほうがより安全ではありますよね。

IMI: 胆沢病院で在宅呼吸療法はされていますでしょうか。

菊池様: 行っていますが、CEセンターとしてはごく一部関与している状況なので、詳しい状況かは分かりません。当院は急性期病院ですので、多くの患者さんは周りの後方支援病院に回していると思います。一部把握している中でベンチレータBを使用して管理している患者さんは何名か具体的に分かりませんが、それなりにいます。在宅呼吸管理の場合、御家族が疲弊してきますので、そういったときに、レスパイトで入院してきます。そういった患者さんについては我々も関与します。今後、自宅でもMONNAL T60を使用し、レスパイトで入院する場合もMONNAL T60を使用できれば、患者さんは安心かもしれませんね。

 

 

 

 

 

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