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スマートケアを使用した手術時加温方法の紹介

はじめに

 

周術期は、全身麻酔と手術の影響で、全身から熱の喪失、熱生産の低下、体温調節機構の反応低下により、中枢温が低下(術後低体温)することで患者さんの回復に思わぬ悪影響を及ぼします。

体温管理テキストブック

術中の低体温を防止する手段の一つとして、手術室において様々な加温装置をご使用されていることと思います。弊社では長年に渡り、周術期体温管理装置としてウォーターブランケット型高・低体温維持装置:メディサーム3(米国GAYMAR社製)を始め、温風式加温装置:サーマケア(同社製)、血液・輸液加温装置:メディテンプ3(同社製)、カーボンファイバー式加温装置:スマートケア(独国Geratherm社製)を取扱っております。特に同じ加温装置でも、水や空気を使用しない、カーボンファイバー加温によるスマートケアは温風式加温装置と同等の加温効果*1があることから、現在多くの手術室でご使用いただいております。

スマートケア

 

今回、スマートケアユーザーである長野県立総合リハビリテーションセンター 手術室看護師、大久保貴弘様にスマートケアに関するユーザーレポートを執筆していただきました。スマートケアを利用した加温方法について紹介されております。是非ご一読いただきたく思います。

 

[ 写真:カーボンファイバー式加温装置スマートケア (独国Geratherm社製) ]

 

*1麻酔2003;52:636-641

(OR/CC部 西川一平)

スマートケアを使用した手術時加温方法の紹介

はじめに

 

 手術室看護師は手術中の体温管理、特に体温低下を防止するためにさまざまな対応をしています。温水や温風を利用した加温と、覆布などによる保温の工夫は看護師の大きな役割です。

 当院では温水加温装置を利用していましたが、すでに装置は古く故障が相次ぐため新しい加温装置の検討をしていました。そんな時に出会ったのが「スマートケア」でした。

 電気を熱源とするそれは、オレンジ色の派手な外観ではありましたが、温水式や温風式装置と比べ本体は非常に小さく、静かで、熱を通した時の暖かさがとても気持ちよく私たちの興味を誘いました。

 そこで従来からおこなっていた加温と「スマートケア」による加温の手術時の体温変化を調べました。その結果、体温管理に効果のある装置であることがわかり購入をしました。 

  ここでは、実際に調べた体温変化の結果や、現在当院でおこなっている「スマートケア」を利用した加温方法について紹介します。

 

長野県立総合リハビリテーションセンター

整形外科・内科・神経内科・麻酔科

病床数80床 

手術室 3室

手術件数 424件(2010年)

(脊椎237件 人工関節94件 その他)  

http://www.pref.nagano.jp/xsyakai/reha/  

 

 

温水循環式加温装置とスマートケアの体温低下の比較

 2台の温水循環式装置を使用して下肢と頚部を加温する従来のB群と、スマートケア1台で上下肢を加温するS群で体温低下の比較検討をした。仙骨部硬膜外併用全身麻酔下に腹臥位脊椎手術を受けた22名。膀胱温,手背温,足背温を測定した。

膀胱温は執刀時と比べ低下し両群間に有意差なかったが、温度低下勾配がS群で60分以降は緩やかになる傾向がみられた(図1)。手背温から膀胱温を引いて求めた末梢中枢温度較差の値は両群間に有意差があり、S群で有意に低値であった(図2)。

足背と膀胱の温度較差には有意差なかった(図3)。麻酔中の体温低下は,中枢の熱が末梢に移動し放射することも一因であるため、S群で体温低下の勾配が60分以降緩やかであったことは、中枢と末梢の温度較差の値が有意に低値であったことや、加温により上肢の熱の放射が抑えられた効果と考える。 

  

 

【結論】

「スマートケア」は中枢と末梢の体温較差を広げないよう
1台で効果的に加温でき体温管理に有効であった。

 

2009年日本手術看護学会  示説発表

2010年日本臨床体温研究会 口演発表

 

 

 

スマートケアによる加温方法

 

脊 椎 手 術

・四点支持器を使用する手術では体幹部分は術野と重なり加温ができないため
 上肢と下肢の加温をおこないます。
・頚椎・胸椎上位手術では上肢・背部にブランケットが使えないため下肢と
 腰殿部にかけて覆います。

 

 

 

 

  

 

・主に下肢の加温をおこなうため本体は下肢側に置いています。

・術式によっては腹部の加温もおこないます。

 

 

 

スマートケアによる加温方法

 

人工関節手術

・上肢に保温覆布とブランケットを掛け、反対足にブランケットを乗せ
  加温しています。
・消毒液の汚染防止のためブランケットの上はディスポシーツで覆います。  

 

 

 

 

  

 

・保温覆布で上半身を包み背部から上側上肢にかけてブランケットを乗せます。
・仰臥位と同様に下肢を覆います。
・下側上肢はバスタオルで保温をしています。

 

 

 

使用環境や保管について

・装置本体は手術時コンプレッセン*をかけるために使用するスタンドに設置。

・使用温度は電源を入れたときの設定温度37℃で加温。

・使用のタイミングは通常、麻酔導入後、手術体位がとれた後に加温開始。

・保温力が高まるように覆布やバスタオルなどを併用。

・手術時に使わないブランケットはたたんで棚へ収納。

・普段使わない時はスタンドにブランケットをかけて保管。

・汚染時はふき取り掃除。汚れがひどい場合は洗濯。

 

*コンプレッセン:患者さんに掛ける布

 

スタッフの感想

・じんわりとした温かさで気持ちいい。

・オーバーブランケットなので必要な時すぐ掛けられる。

・温水加温装置と比べて管理が楽になった。

・手術中の騒音が無く執刀医の声が聞きやすくなった。

・日本人の体系にブランケットは少し大きいかも。

 

おわりに

手術室のイメージは「冷たくて寒い」と 思われがちですが、私たちはこれからも「温かみのある看護」を目指し取り組んでいきたいと思います。

 

 

長野県立総合リハビリテーションセンター

手術室看護師 大久保貴弘

 

 

 

 

 

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