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秋田厚生医療センター ディスポーザブル蘇生バッグの導入過程をインタビュー

JA秋田厚生連 秋田厚生医療センターは、秋田市北部・男鹿南秋地区(診療圏約人口18万人)の地域中核病院であり、標榜科25科、479床の一般病院です。今回は、感染管理認定看護師 看護師長 水野 住恵様と医療安全管理者 看護師長 秋本 智美様のお二人に、これまでの蘇生バッグ使用における課題とディスポーザブル蘇生バッグを活用された課題解決の過程について、お話しを伺いました。

 

JA秋田厚生連 秋田厚生医療センター 沿革

昭和7年2月: 秋田市中長町において通称「秋田医療組合(病院)」開院
昭和11年6月: 通称「秋田医療組合(病院)」を秋田組合病院に改称
昭和13年6月: 保証責任秋田医療購買利用組合連合会に改組
昭和17年11月: 保証責任秋田県信用販売購買利用組合連合会に統合
昭和18年12月: 秋田県農業会に移管
昭和23年8月: 秋田県厚生農業協同組合連合会へ移管
昭和40年9月: 秋田組合総合病院に改称
平成12年6月: 移転新築病院開院
平成26年4月: 秋田厚生医療センターへ病院名称変更

 ≪JA秋田厚生連 秋田厚生医療センター ホームページ≫  http://www.akikumihsp.com/

 

感染管理認定看護師  看護師長 水野 住恵 様 御略歴 医療安全管理者  看護師長 秋本 智美 様 御略歴
平成5年:秋田組合総合病院(現・秋田厚生医療センター)勤務 平成4年:秋田組合総合病院(現・秋田厚生医療センター)勤務
平成20年:日本看護協会看護研修学校感染管理学科 入学 平成24年:医療安全対策室 就任
平成21年:日本看護協会看護研修学校感染管理学科 卒業  
平成21年:感染管理認定看護師資格 取得  
平成22年:感染管理室専従者として勤務  

 


 

IMI: 秋田厚生医療センターの医療安全管理体制と感染管理に関して、組織とお二人の役割の御紹介をお願いします。

秋本様: 医療安全に関しては、対策室のメンバーは13名おり、常に活動しているのが、私以外に専任の看護師との2名となっています。それ以外のメンバーは医師、薬剤部、検査部、放射線部、リハビリ部門、栄養科、事務部門からの兼任のスタッフとなっており、問題事例については、毎週のカンファレンスで話し合って、対策していっています。
 また、早急な対応が必要な場合は、対策室長の医師や、管理者などと話し合いを行い、対応することもあります。それ以外のことであれば、医療安全管理委員会という、全部署の所属長が出席する委員会で情報共有し、問題事例の検討なども行われています。
 私たちの仕事は、日々のインシデント事例や、現場での問題を把握して、対応・対策していくことです。また、医療安全に関する研修や教育を行っていくことも大切な役割です。

水野様: 従来、医療安全対策室の中に感染対策が入っていましたが、近年では独立して個別に考えるようになり、平成22年度から感染管理室に私が専従で勤務することになりました。
 感染管理室では、サーベイランスや、ラウンドの実施、感染管理教育などを行います。また、アウトブレイクが起きた時には速やかに介入して終息できるように現場の感染対策を支援する役割を持っています。

IMI: 蘇生バッグに関して、弊社が取り扱うアンブ社のディスポーザブル蘇生バッグ SPUR II を導入いただきました。

水野様: 2014年ICT(Infection Control Team:感染制御チーム)のラウンドで、リユースの蘇生バッグの管理方法が病棟毎で異なっており、問題となっておりました。

IMI: その時お使いのリユーザブル蘇生バッグは、1種類だけでしたか。

秋本様: 他社の製品ですが、何種類かありました。

IMI: 洗浄/消毒/滅菌した後の組立などはいかがでしたか。

水野様: 私たち感染管理の担当者としては、蘇生バッグは高水準消毒を求めます。しかしながら、高水準消毒は吸入毒性の問題もあり、病棟単位では使用していませんでした。そこで、当院で検討されたのは、便宜上、滅菌をすることでした。
 蘇生バッグを滅菌する前には分解、洗浄が必要です。当院では滅菌業務は外部委託されています。従って、蘇生バッグを分解して洗浄するのは、看護助手、運搬するのは外部委託業者、滅菌されて返却されたものを組み立てるのが看護師ということで、間違いが危惧されておりました。

秋本様: 平成24年に、大阪で発生した事例があり、その翌年には評価機構から「手動式人工蘇生器組立間違い」に関して医療安全情報が発出されました。当院では幸いにして、組立間違いによる事故事例は今までありませんでしたが、これらを機に、医療安全管理委員会や看護部事故防止委員会などで注意喚起を行い、説明書を見ながらの組み立てを行うことを現場に指導していました。実際、蘇生バッグを良く使用する救急外来やICUであれば、組み立てを理解しているスタッフが多くいると思いますが、特に使用頻度の少ない病棟などでは、組み立てについて、どの程度徹底されていたかという不安な部分が残っていました。
 今回のディスポーザブルタイプの導入について、感染管理室から最初に提案がありましたが、医療安全上も是非必要だと感じて、一緒に話に参加させて頂き導入が実現しました。

 

IMI: 人事異動で違う部署に異動になった際、従来使っていた蘇生バッグとは違うタイプの蘇生バッグになってしまった、ということはありませんでしたか。

秋本様: 当院では他社の製品を使用していましたが、数種類あり、かなり古いタイプの物や、リザーバーバックがついていない物もあり、統一した製品を置く必要性があることを感じていました。

IMI: 通知発出後、臨床工学技士が中央管理で組立を実施する病院も増えているようです。

水野様: 当院では、そういったことはしていませんでした。 洗浄/消毒/滅菌の管理が良くないので、マスクだけをディスポーザブルにし、間にバクテリアフィルタを挟んで蘇生バッグの管理頻度を下げるなど苦肉の策をとっていましたが、一部だけディスポにするという対策は、結果的には現場の混乱のもとになってしまいました。更に、滅菌パックされた滅菌物は3ヶ月の期限があり、再滅菌の問題も発生しました。

IMI: ディスポーザブルタイプの蘇生バッグを検討されたということですね。

水野様: タイムリーに、セットで購入すると安価になるというご提案をいただきました。 蘇生バッグを使用する患者様は、易感染状態にあるので、蘇生後の経口挿管、人工呼吸器装着によ る肺炎を予防しなければなりません。従って、蘇生バッグは清潔に管理されていなければならない のです。

IMI: 現在は、病院全体で蘇生バッグを SPUR II に統一していただいているのですか。

水野様: そうです。全部です。

IMI: 成人用、小児用、新生児用と3種類ありますが全部ですか。

水野様: はい。有効期限も長く持ちます。手術の場合、患者様の呼吸状態の悪化の可能性を考えて、搬送中に携帯するのですが、大部分が使用せずにそのまま帰ってきます。このような場合でも、SPUR II であれば、また別の患者様に使えますので大変便利です。

IMI: 導入を検討する際、他社製品は、御検討されたのですか。

水野様: 材料検討委員会に提示する際に資材課で確認しています。他にもディスポーザブルの蘇生バッグはあるのですか。

IMI: 他社でもございます。価格に関しては弊社の商品が一番安価ですし、機能的にも一番良いと思います。 他社製品は、硬いものや、30分以上蘇生を行うと、どうなのかなというものもあります。また、ディスポといっても少し組立が必要なタイプもあります。総合的にアンブ社の蘇生バッグが一番良いと考えています。

以前使用されていたリユーザブルの蘇生バッグはその後どうなされましたか?

水野様: 廃棄しました。

IMI: その方が絶対に良いと思います。間違ってもし何かあったら大変だと思います。

水野様: そうですね。廃棄前、現場から捨てるがもったいないけど本当に捨てていいのか、と何度か問い合わせをいただきました。

IMI: 導入を決定するにあたっては、実物を触って蘇生バッグを揉んでみたり、組立不要で直ぐに使える製品であることをチェックされましたか。

水野様: 成人用と小児用のサンプルを段ボールで1箱出していただきました。救急外来や病棟にサンプルを配布しました。それまで使っているものと違和感なく、支障なく使えるという現場の方の声もあり、ほとんど誰の反対も無く、導入へと進みました。

IMI: 皆様各部署でチェックされて導入が進んだのですね。

水野様: そうです。これまでは、ほこりがかぶらないよう袋に入れて収納するということも守れず、むき出しのまま救急カートの上に置いてあったりしました。そうすると、汚染する可能性もありました。その点、ディスポーザブルタイプは、包装されている製品なので、そのまま置くだけできれいに管理できるということで、すごく良いねと病棟側からも言われました。

IMI: 現在、使用頻度はいかがですか。

水野様: 救急外来は月に3回以上使用するかもしれません。病棟はそれよりも少ないです。

秋本様: 従来、MEセンターは蘇生バッグに係わりがありませんでしたが、今回 SPUR II を導入してから、人工呼吸器の貸出の際、必ず一緒に付属で貸出すことになりました。これまで無かった対策です。

IMI: 人工呼吸器1台に1つ蘇生バッグを付けて運用するというケースは、多くなっていると伺っています。

ところで、SPUR II の使用・補充に関して、現在どのように管理されていますか。

水野様:  救急外来で一括して材料管理しています。病棟などで使用したら、その分を救急外来で払い出してもらう方法を取っています。高額材料に関しては、病棟ではなく救急外来で管理する体制がありますので、その点では支障なく導入できました。

IMI: 救急外来の材料管理担当の看護師さんはお仕事が増えてしまったのではないですか。

秋本様: ここ数年でスタッフ数も増え、看護補助者もいるため、今のところ管理については支障なく出来ていると思います。

IMI: 蘇生バッグや急性期に使う機械など、いざというときに使用するものは、年に何回か看護師さん向けに勉強会や教育の機会があると思いますが、リユーザブルを使用していたとき、勉強会はありましたか。

秋本様: リユーザブル導入時の全体での勉強会などは行っていません。蘇生バッグの使用方法については、医療安全研修会の救命処置について、全職員対象で行っています。毎年定期的に行わなければと思っていますが、そこまでは出来ていない現状です。

IMI: SPUR II を病院で統一して使っていただくことで、勉強会も効率的に実施できるのでは。

水野様: そうですね。洗浄/消毒/分解/組立がありませんので、研修内容として教える必要のない項目も出てきました。蘇生のことだけを考えてもらえればいいわけです。

IMI: 製品の取扱方法というよりも、蘇生バッグの使い方そのものの研修に集中できますね。

秋本様: そうですね。

IMI: サンプル品をお試しいただいてからの導入でしたが、実際使用されてからの感想についてはいかがでしょうか。

水野様: 救急外来の一意見ですが、蘇生バッグを1名で処置することが多く、大きくて握りきれないという意見がありました。もともと小さい蘇生バッグを使っていたからかもしれません。

IMI: アンブ社の蘇生バッグの場合、ストラップが付いていて、手を入れて保持できるので安定します。他社製品では、ストラップが付いていないものも多くあります。改善に関しては、製造元に申し入れます。

秋本様: ストラップが付いているので使いやすいという意見もありました。

IMI: 否定的な御意見は、救急の看護師さんお一人でしょうか。

水野様: 否定的な意見はほとんど聞きません。

秋本様: 管理がしやすい、一体化して便利、という良い意見が現場では多いと思います。

IMI: 分解/洗浄/消毒/滅菌/組立が必要なくなり、組立間違いのリスクも無くなり、実際の蘇生、人工呼吸に集中できるということが大きなメリットとなっているようですね。近辺の病院様から、秋田厚生医療センター様でのご使用に関して問い合わせを受けませんか。

水野様: それは、今の所ないです。

IMI: 最近 SPUR II を採用いただく病院が増えています。大阪の案件と厚労省の通知以来、相当数問い合わせをいただいています。そういったことがあって、弊社といたしましても、沢山使っていただこうと昨年価格引き下げをさせていただきました。

水野様: 全部ディスポに切り替える決定には勇気がいります。しかし、患者様の安全、職員の労力、消毒剤のコスト、いままで使っていたフィルタ・マスクを考えるとそれほど高いものではない、という感想は持っています。コストよりメリットが上回っていると思い、踏ん切りをつけました。

IMI: 私たちも営業で県内をPR しているとぶつかるのはそこなのです。リユースを使っていて、切り替えるのは、どうしても踏ん切りがつかない。
今あるのはどうするの?もったいない。
順次変えましょうか?順次となると結構な時間がかかり、結局、踏ん切りがつかない。
私たちが行くと話を聞いてくださるが、そこで止まっている病院がいっぱいあります。秋田厚生医療センターで採用になりましたよ、ということはいつも言います。それでも、中々、踏ん切りがつかない。厚生連系列の病院様の場合は、比較的、関心を持っていただけることも多いのですが・・・。

秋本様: 他の厚生連とはたびたび情報共有もしていますので、踏ん切りがつかない、という話があればアドバイスできます。

IMI: 少し質問が戻ります。現在は全てアンブ社の SPUR II に切り替わっていますが、最初から院内全て一気に切り替えてしまおうということでしたか。

水野様: 一気に切り替えました。

IMI: 最初の検討段階で、段階的に切り替えということではなく、一気にということで話が決まったのですね。

水野様: そうですね。

IMI: 先ずは救急外来で採用という施設もありました。

水野様: 相当数サンプルを出していただき、みんなが良いと言っていました。一部ずつ切り替えるとそれも混乱のもとになるので、一気に変えてしまいたいというのが、私たちからというよりもむしろ周りからのニーズでした。

IMI: 手動式肺人工呼吸器の安全対策、感染管理を行っていくにあたり、弊社製造販売業者にご希望・ご要望があれば、コメントをお願いします。

秋本様:  様々な病院で使用してみて、いろいろな意見があると思うのですが、もしそこで改善できるようなものであれば、より良い製品に改善して、より良い製品を病院へ提供してもらいたいと思います。それから、何か問題・不具合が生じたときは、問題点・対策を速やかにお知らせいただければと思います。

水野様: 製品、医療安全、感染について、また他の病院で起こっていることなどについて、情報提供いただければ助かります。

IMI: 承知いたしました。他の医療機関様に対して、SPUR II に切り替えた御経験をもとにアドバイスしたいこと、何かお伝えしたいことがあればコメントをお願いします。

水野様: 必ず問題となるのはコストだと思います。先ほどの洗浄/消毒/滅菌についても、誰が洗浄をし、どこで滅菌をしているのか(自施設か、外部委託か)によって検討内容は異なると思います。私たちの病院では、患者様の安全と感染防止、現場での作業の簡素化の3つのメリットとコストとの兼ね合いを検討し、決定いたしました。これからも、患者様の安全、患者様中心ということを大切に考えていきたいと思います。

秋本様: 今回、最初は感染管理室から切り替えの話が出て、良い製品だと思い、安全対策室も一緒に切り替えについて進めていきました。一部署だけでは中々変えにくい場合も、今回は、感染と安全と両方で進めていったことで、早期の導入が可能になったと思っています。導入が進まず困っている施設があれば、そういう形で進めていければよいのではないかと思います。

IMI: 他の病院でも一つの部署で迷っているのではなく、他の部署と協働して良い方向に進めていけばいいということですね。本日は、お忙しいところ貴重なお話しをいただき誠にありがとうございました。

 

 

【アンブ蘇生バッグ 関連情報】

http://imimed.jp/ambu/index.html

文責  救急・CC部 見辺 雅
(2015年8月)

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