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第56回日本呼吸器学会学術講演会イブニングセミナーのご報告

第56回日本呼吸器学会学術講演会イブニングセミナー「Interpreting the Carbon Monoxide Diffusing Capacity in a Complex clinical Environment - 複雑な臨床現場におけるDLcoの解釈」ご報告

第56回日本呼吸器学会学術講演会(会長 日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野 教授 橋本 修先生)にて、座長に北海道大学 大学院医学研究科 呼吸器内科学分野 教授 西村正治先生を、演者にユタ大学 Allergology, Pulmonology, Respiratory Medicine 教授 Robert L. Jensen先生をお招きし、イブニングセミナー「Interpreting the Carbon Monoxide Diffusing Capacity in a Complex clinical Environment - 複雑な臨床現場におけるDLcoの解釈」を共催させていただきました。

第56回日本呼吸器学会学術講演会イブニングセミナー「Interpreting the Carbon Monoxide Diffusing Capacity in a Complex clinical Environment - 複雑な臨床現場におけるDLcoの解釈」ご報告

Jensen先生は現在海外で行われているCOPD Geneの共同研究者のお一人です。また肺機能とスパイロメトリーの品質向上に注力されており 、最近では肺機能検査機器の性能評価を行う試験所を立ち上げPulmonary Waveform Generator DLCOシミュレータを用いて機器の評価を行うプロセスを構築されました。また全ての肺機能検査のためのATS/ERS2005年標準化委員会のメンバーで、DLCOテストを標準化するための新たなATS/ERSのメンバーのお一人です。

今回Robert L. Jensen, Ph.D.先生からは、DLCO評価の注意点、DLCOの解釈などについてエビデンスやデータを基にお話頂きました。

測定値の精度、DLCOの変化をどう理解するか、臨床状況把握への有用性の3つについて、それぞれの項目について具体例や注意点などを発表頂きました。
特に先生が注力してお話されていたのは測定精度についてでした。器械のキャリブレーションが正確であること、テストの手順や患者の体位が適切であるか、検査の回数や測定時刻に至るところまでATS/ERSガイドラインに基づいて説明をいただきました。

精度に関してはガスのボリュームを正確に測ること、キャリブレーションの精度、データの処理、ATS/ERSスタンダードを順守するだけでなく、患者側の問題点をクリアにする(測定体位は座位で行う、テスト2時間前までに食事を終わらせる、最大5回まで行うが、テストを行う時刻を出来るだけ同じ時間帯に行う)ことを発表されました。

DLCOの変化については2005年のATS.ERSリコメンデーションでは同日測定で7%、1年間で10%以上の変化、1週間毎で6ml/min/mmHg以上の変化がなければ優位な変化とはされないとされていることをリマインド、それに照らし合わせて実施された例を説明。またもうすぐ新しいリコメンデーションが発表されるとのHOTな情報も付け加えお話されました。

臨床状況の把握については鑑別診断、DLCO/VAとLVとの比較、患者のスクリーニングや投薬時のモニタリング等にDLCOが役立つことを説明されました。ただし、それには初めに触れられていた検査数値の精度が前提であるため、精度を担保することがとても重要であることをお話されました。
またスクリーニングの用途で幅広く使われているスパイロメトリー検査のリスクについても興味深いデータを発表されました。2015年ERSで発表されたデータでNYで行われた試験のデータでした。スパイロメトリーが正常値であった場合でもDLCOが基準値以下を示した場合、20%強の患者が何らかの閉塞性呼吸障害を発症したデータを発表され、スパイロメトリーではスクリーニングが不十分であること、DLCOも同時に行うことが呼吸障害を早く見つけることが出来る可能性を示唆されました。

素晴らしい講演をいただいた演者のJensen先生、スムーズな司会進行により本セミナーを成功に導いてくださった西村先生に深く感謝を申し上げます。

文責: レスピラトリ・ケア部 木村 直道

2016年5月

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