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第19回日本脳低温療法・体温管理学会 併設展示及び共催教育セミナーのご報告

第19回日本脳低温療法・体温管理学会

会期: 2016年7月15日(金)~16日(土)
会場: ひめぎんホール 真珠の間
会長: 相引眞幸(愛媛大学大学院医学系研究科 救急医学分野教授)
 

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◆ 弊社共催 教育セミナー ◆

「Continuous aEEG Monitoring in Cardiac Arrest Patients Receiving Hypothermia Therapy」
~脳低温療法実施心停止患者への持続aEEGモニタリング~

演者: Kyunam Park 先生
(Seoul St. Mary's Hospital, The Catholic University of Korea)
座長: 小畑仁司先生(大阪府三島救命救急センター)
 

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この度、第19回日本脳低温療法・体温管理学会が上記の通り開催されました。

開催地である愛媛県松山市といえば年間の観光客が尋常ではない「道後温泉」が特に有名です。汲み上げ可能な源泉は17カ所、20℃~55℃と幅広い温度帯から成り、43℃程度に調整して供給されています。また、道後温泉街には手湯や足湯などを無料で楽しめる温泉が10カ所以上もあり、道後温泉のシンボルである共同浴場「道後温泉本館」は国の重要文化財にも指定されています。

道後温泉本館
写真:道後温泉本館

中国四国地方ではNo.1の人気を誇るアルカリ性単純温泉で、すべすべな肌になる「美人の湯」としても知られておりますが、「2015年:おんな一人旅に人気の温泉地ランキング2年連続第1位」、「2016年上半期:人気温泉ランキング全国第9位」と、ベスト10入りしていることはあまり知られていないようです(楽天トラベルより)。

しかし、残念なことに「道後温泉本館」は2017年10月頃(えひめ国体終了後)から耐震改修工事をスタートするようで、約9年間の工期の間は「部分閉館」となりますので、お好きな方は2017年までに道後温泉に入っておくことをお奨めいたします。

また、松山と韓国ソウルは飛行機の直行便が運航しており、90分で行き来できます。今回教育セミナーの演者にお招きした韓国のPark先生も松山には何度か訪れており、好きな街の一つと言われていました。

第19回日本脳低温療法・体温管理学会について

さて、前学会(第18回)までは「日本脳低温療法学会」と称されておりましたが、今回の学会から「日本脳低温療法・体温管理学会」と学会名が変更となりました。その理由の一つとしては、様々な病態において目標体温を決め、その体温レベルで管理するというTTM(Targeted Temperature Management)という考えが世界的な潮流になってきたことが挙げられます。

弊社の展示ブースには低体温療法における体温管理機器としてトップシェアを誇る Arctic Sun5000 (Bard社製)、組織での酸素消費と組織への酸素供給の評価指標として NIRO-200NX (浜松ホトニクス社製)、脳波モニタとして NicoletOne (Natus社製)、瞳孔記録計NPi-200 (Neuroptics社製)、EtCO2、カプノグラム、呼吸数が測定できる超小型カプノメーター EMMA (マシモ社製)を展示させていただきました。

学会プログラムは学会設立者でいらっしゃる日本大学名誉教授の林成之先生による、アカデミックな内容からオリンピック選手が勝負に勝つための勝負脳まで触れた特別講演から始まり、共催セミナーは弊社アイ・エム・アイ株式会社と旭化成ゾールメディカル株式会社の2社、「頭部外傷」「冷却法 中枢・熱中症」「PCAS代謝」「PCAS予後評価」の4つのシンポジウムで構成されておりました。

第19回日本脳低温療法・体温管理学会 併設展示及び共催教育セミナーの様子

現在、市民救助者へのBLS普及活動、AED設置台数増加と施行率の上昇により、救命率は年々上昇しています。しかし、救命はできても社会復帰できない患者様もまだ多くいらっしゃる現実があり、社会復帰率を上昇させることが現在の課題の一つとして残っているように思えます。
JRC蘇生ガイドライン2015では「体温管理療法施行時には、32℃~36℃の間で目標体温を設定し、その温度で一定に維持することを推奨する」と表記されておりますが、低体温療法の目標体温を34℃に設定されているご施設が多いのではないでしょうか?

Arctic Sun5000 (Bard社製)

現場の先生方からは、TTM中の患者個々の病態は異なるので、状況に応じて目標体温を34℃から変更すべきか?悩まれることもあるようです。これまで予後予測の指標の1つとして注目されていたのは、学会でもここ10年間にわたり継続的に発表されているバイオマーカーです。 NSE(神経特異エラノーゼ)、S100B、血中アンモニア濃度、乳酸、PCT(プロカルシトニン)などによる予後予測に関する報告が取りあげられてきましたが、今では、単体での予測よりも異なるバイオマーカーとの組み合わせによる予後予測が期待されているようです。また、バイオマーカーに加え、脳波、ABR(聴性脳幹反応)、SEP(体性感覚誘発電位)、BISなどの電気生理学的検査(脳神経系モニタリング)による予後予測に関する発表についても、関連学会でここ数年増えてきているように思います。

ここ松山の学会でも、「PCAS予後評価」に関する演題発表が複数題ありました。中でも小児での溺水心停止(体温30.4℃)患者に対して、NicoletOneによるaEEGモニタリングで搬入後にBurst suppression(転帰不良のサイン)を認めていましたが、復温と体温管理目的にArctic Sunを使用してTTM(34℃まで復温し、48時間維持、復温1℃/1日)を施行した結果、神経学的脱落症状も認めず経過フォロー中という症例報告がとても印象的でした。

また、後述させていただく弊社共催教育セミナーにて取り上げられた、低体温療法中の持続aEEGモニタリングに関する講演は、聴講された先生方には特に興味深かったようです。

患者個々の病態・脳機能モニタリング機器を活用していただき、脳の損傷度合いに応じた最適なTTM(目標体温・冷却時間・復温速度など)を検証することで、今後益々の治療成果が上がることを期待できる学会でした。

文責: 救急・CC部 西川 一平

2016年8月

◆ 弊社共催 教育セミナーについて ◆

7月16日(土)9:00より教育セミナーを共催させて頂きました。

演者に韓国よりKyu-Num,Park先生を、座長に大阪府三島救命救急センター所長代理の小畑仁司先生をお招きし、「Continuous aEEG Monitoring in Cardiac Arrest Patients Receiving Hypothermia Therapy~脳低温療法実施心停止患者への持続aEEGモニタリング~」と題しご講演を頂きましたのでご報告させて頂きます。

当日は朝一番の講演にも関わらず多くの先生方にご参加頂き、講演後も質疑応答、意見交換が活発に行われTTMとaEEGへ興味・関心が高いことを伺い知ることができました。

Kyu-Num,Park先生はThe Catholic University of Korea(韓国カソリック大学)の救急医学教室の教授であり、韓国でのTTMにおける第一人者であります。また、2015年にCirculation誌にSang Hoon Oh先生と共に発表された「Continuous Amplitude-Integrated Electroencephalographic Monitoring Is a Useful Prognostic Tool for Hypothermia-Treated Cardiac Arrest Patients」は日本でも多くの著名な先生方の学会発表に引用されています。

講演の内容に入ります前に、aEEGについて少し解説させて頂きます。aEEGは脳波の振幅を基に時間軸で圧縮表示した脳波トレンドの一種であり、6つに分類されたパターンを用いて脳の状態やてんかん重積を認識します。これにより判読も比較的容易となり、最低4つの電極で測定ができるので迅速に測定を開始することができるためベッドサイドで脳機能をモニタリングするには最適なツールです。脳機能のモニタリングだけでなく予後予測やてんかん重積の検出、治療の評価としても使用が可能となります。

Park先生には【TTMにおける脳モニタリングの現状】 【aEEGとは何であるか】 【実際の症例の紹介】 【最後にテーラーメードTTMの必要性】についてご講演を頂きました。

NicoletOne

自己心拍再開後昏睡状態にある患者様の脳保護をし、神経学的予後を向上させるためにTTMが有効であるものの、ベッドサイドでの持続的な脳機能モニタリングの実施率は高くはありません。その要因として脳機能モニタリングは計測に必要な電極が多い点や判読も難しい点を挙げられています。aEEGモニタを用いることでベッドサイドでも持続的に脳機能モニタリングが実現できることをお話されました。

Park先生は良好な神経学的予後のためにはaEEGの正常パターンが24時間以内に出現することが大切であること、一般的に予後不良因子であると言われているてんかん重積のパターンが出現した際でも、出現時間と積極的介入により神経学的予後が良好になることを実際の症例を交えてお話され、良好な神経学的予後のためにはaEEGを用いて脳機能を持続的にモニタリングすることの大切さを強調されていました。

ご講演の最後では患者様の脳の損傷の程度を把握し、損傷の度合に最適な温度でのTTM、つまりテーラーメードのTTMの重要性について強く説かれていました。その際に脳の損傷の分類を行うことがポイントになりますが、aEEGの出現したパターンと時間を用いることで客観的な評価が可能となると併せてお話されていました。

このaEEGの分類に基づいたテーラーメードのTTMは自己心拍再開後昏睡状態にいる患者様の神経学的予後の向上に役立つ可能性があり、今後の報告が期待されると締めくくられました。

患者様の神経学的予後向上のためにはTTMが大切であり、そのTTMの効果を上げるためにはaEEGを用いて脳機能をモニタリングすることの大切さを再認識しただけでなく、今後aEEGを用いて患者様に適したテーラーメードのTTMの実施と、それによる神経学的予後向上の報告が期待できる講演となりました。

弊社も体温管理機器のArctic SunとaEEGモニタのNicoletOneを通じて先生方のお手伝いができたら幸いと存じます。

この場をお借りして素晴らしいご講演を頂いたPark先生、座長を務めて下さった小畑先生に改めてお礼申し上げます。

文責: 救急・CC部 山田 真理

2016年8月

■ 次期学会のご案内

  • 会期:2017年7月7日(金)、8(土)
  • 会場:熊本市民会館(シアーズホーム夢ホール)
  • 会長:笠岡 俊志 先生(熊本大学医学部附属病院 救急・総合診療部 教授)
  • テーマ:多職種連携による体温管理の向上
  • ホームページ:http://jabh20.umin.jp
  • 演題募集期間:2017年2月1日(水)~3月16日(木)

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