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第27回日本臨床モニター学会総会 教育セミナーご報告

第27回日本臨床モニター学会総会 教育講演Ⅰ「未来の血行動態のモニターとは? 
—バイオリアクタンス法を用いた非侵襲的な心拍出量モニターの概要と将来性」

去る2016年4月29日(金)~30日(土)、沖縄コンベンションセンターで第27回日本臨床モニター学会総会(大会長 琉球大学大学院医学研究科 麻酔科学講座教授 垣花 学先生)が開催されました。弊社では本学会総会において教育セミナー 「未来の血行動態のモニターとは?」-バイオリアクタンス法を用いた非侵襲的な心拍出量モニターの概要と将来性- を共催させて頂きましたのでご報告いたします。

「未来の血行動態のモニターとは?」
— バイオリアクタンス法を用いた非侵襲的な心拍出量モニターの概要と将来性 -

日時: 2016年4月29日(金)10:35~11:35
会場: 第2会場(沖縄コンベンションセンター 会議場B1)
座長: 瀬 尾 勝弘先生(小倉記念病院 副院長、麻酔科・集中治療部 主任部長)
演者: 大 嶽 浩司先生(昭和大学麻酔科学講座 主任教授)

ご講演では先ず初めに座長の瀬尾先生から大嶽先生のご紹介があり、その後、演者の大嶽先生から、所属されておられます昭和大学の紹介がありました。昭和大学には医学部・歯学部・薬学部・保健医療学部があり、入学後1年間は山梨県の富士山麓にある富士吉田キャンパスで学部の違う4名が相部屋で共同生活を行うというユニークな方法を採用。これがチーム医療教育となっており、卒業生のチームワークの良さに繋がっている。また本院の他に江東豊洲病院等があり、江東豊洲病院は2020年東京オリンピックのメイン会場に最も近い病院である事等の紹介がありました。

この後、血行動態・心拍出量を測定することの重要性について講演されました。血行動態の測定は組織への血液灌流とマクロの血流を測る事であり、具体的には末梢温度や組織酸素飽和度、血圧、尿量、心拍出量等の測定であること、現在使われている血行動態モニターとしては組織酸素飽和度モニターのNIROやドップラー血流計、心拍出量計等があり、最近は低侵襲の心拍出量モニターが登場して来ていることの紹介がありました。

一方、血行動態測定の意義は、集中治療や周術期では血行動態の最適化が組織への適切な酸素供給の維持につながる事。しかし血圧の測定だけでは血流が減少しても血圧は維持される事があり、血圧のみに頼ると組織灌流は不十分になることがある。血行動態の規定要素には前負荷・心臓の収縮力・後負荷の3つがあり、血圧のみを指標にした場合には輸液に頼ることになるが、血行動態コントロールには限界がある等の説明がありました。

この後、バイオリアクタンス法を用いた心拍出量モニター スターリングSVを紹介されました。位相シフトを用いたバイオリアクタンス法のユニークな測定原理を説明され、他の心拍出量モニターと遜色がない結果が出ていることが紹介されました。

また多く施設で採用されているパルスカンター法を用いた連続心拍出量モニターの測定原理についても説明されました。

これらの心拍出量モニターを使用する目的の一つに輸液反応性の確認がありますが、指標の一つであるSVV(PVV)には脆弱性(前提条件として完全な調節呼吸、適切な一回換気量、自発呼吸が無い事、心拍数が一定で不整脈が無い事、左右の心室が協働していること等)があり、パルスカンター法を用いたモニターでは血管のトーンが不変であることも必要になるので、これらを考えると脈から測るのではなく直接測る方が良いのではないかと発表がありました。

各種モニターの比較(熱希釈法、パルスカウンター法、ドップラー法、バイオリアクタンス法)やスターリングSVの実際の使用例をビデオで紹介され、バイオリアクタンス法の将来性として、今までのモニターでは使えなかった患者の血行動態がより正確に測定できる事や輸液管理の考え方が見直される中、術後合併症の減少が予測されることを発表されました。

サマリーとして

  • 近年輸液管理の理論が見直され、血圧のみに頼るのではなく、心拍出量等の血行動態をモニタリングしながら適切な輸液を行うことが推奨されている。
  • 現状の心拍出量モニターでは侵襲度が高かったり、脈波の揺れに頼るため脆弱性がある等の欠点が存在する。
  • バイオリアクタンス法を用いた心拍出量モニターは低侵襲で取り扱いが簡便でありながら、不整脈や人工呼吸器、血管作動薬の影響を受けにくいため、今後の臨床応用が期待されている

ことを発表されました。


この後、聴講者と活発な質疑応答が行われ、本教育セミナーは終了しました。

最後に素晴らしい講演をいただきました演者の大嶽先生、スムーズな司会進行により、本セミナーを成功に導いてくださいました、瀬尾先生に深く感謝申し上げます。

文責: OR/教育部 城定 聡
2016年6月

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