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第20回新生児呼吸療法モニタリングフォーラム 企業企画セッション
「低体温療法中のモニタリングとその対応」

掲載:2018年3月 / 文責:クリティカル・ケア部 体温管理チーム

第20回新生児呼吸療法モニタリングフォーラム 企業企画セッション

2018年2月15日(木)~17日(土)、大町市文化会館・大町公民館にて第20回新生児呼吸療法モニタリングフォーラムが、開催されました。毎年、フォーラムスタッフ手作りの雪だるまと一緒に写真撮影をするのが恒例行事でしたが、今年は、雪だるまが作れないほどの晴天でした。また、雪解けのやや肌寒い中での露天風呂を堪能し、心身ともに癒されました。

今年は第20回という節目の開催であり、例年以上に様々なセッションが開催されました。弊社も企業企画セッション「低体温療法中のモニタリングとその対応」を共催させて頂きましたので、ご報告させて頂きます。

企業企画セッション9 「低体温療法中のモニタリングとその対応」


日時 : 2018年2月17日(土)10:40~12:10
会場 : 第2会場 サン・アルプス大町 大会議室2階
モデレーター :

佐野 博之先生

淀川キリスト教病院 小児科 主任部長、母子センター長

岩田 欧介先生

名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児科 小児医学分野 准教授


以下、ご講演要旨をご紹介いたします。
※タイトルをクリックすると要旨をご覧いただけます。

[ 1 ] NIRSの解釈と対応

演者:清水 正樹先生
埼玉県立小児医療センター 総合周産期母子医療センター 新生児科 科長兼部長

NIRSは、近赤外線を用い、酸素化Hb(以下、O2Hb)と脱酸素化Hb(以下、HHb)を測定し、そこから組織酸素飽和度(以下、TOI)を算出します。私達が使用している浜松ホトニクス社製のNIRO-200NXは、TOIが減少した際に、TOIの減少要因が、酸素化不良、うっ血、虚血の何れによるものかを各Hbの変化によって判断できます。TOIの減少要因に応じて、血圧を上昇させるべきか、血管を拡張させるべきか、ステロイドを投与するべきかなどの判断に使用することができます。

脳は絶えず血流が必要な臓器であり、血流が消失した場合は、すぐに細胞死を起こします。

新生児仮死は、虚血によって1次性脳障害が発生し、その後に再灌流による2次性脳障害が発生します。それらを食い止めることが低体温療法の基本的な概念です。

低体温療法の適応基準の一つに、aEEGの中等度異常(ディスコンティニアスパターン)が含まれます。しかし、aEEGがディスコンティニアスパターンを示した場合でも、予後が改善する児と改善しない児に分かれるため、aEEGのパターンだけでは治療によって、状態がどの程度改善するか否かは予測しきれません。その為、aEEGだけでなく、NIRSを用い、脳への酸素と血液がどのように供給されているか、モニタリングする必要があると考えました。

MRI所見が重症になるほど、NIRSのTOI値が高くなり、日齢が1日経過する毎に急速にNIRSのTOI値が高くなる傾向があり、そのような児ほど予後が悪いと報告されるなど、ここ2年程でNIRSを使用したHIEの論文が海外から多く発表されています。
※酸素消費量が低下する為、酸素飽和度であるTOIが高くなると考えられる。

実際、aEEGパターンとMRI所見、NIROのTOI値を予後良好群と予後不良群で比較した所、予後良好群では、頭部のTOI値が大腿のTOI値より低く、予後不良群では、日齢2日目で頭部のTOI値が上昇し、大腿のTOI値より高くなりました。予後良好群は大腿のTOI値の方が高く、予後不良群は頭部のTOI値が高いという結果が得られました。

今後は、O2Hb、HHb、tHb濃度が測定できるtNIRS‐1を使用して、それらの計測データによって、どのように介入すべきかなどの研究を、更に、行っていきたいと思っています。

[ 2 ] aEEGの解釈と対応

演者:竹内 章人先生
岡山医療センター 新生児科

aEEGには
  • 【1】脳波の活動性(脳神経の重症度と回復の過程) の理解
  • 【2】新生児発作を把握
の2つの大きな目的があります。

正期産児における新生児発作の原因は、50~75%が新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)と言われており、低体温療法を受けたHIEの児も、新生児発作は30~65%発生すると言われています。

「aEEGは、どこで測定すればよいのか」という質問をよく受けるのですが、当センターでは、原則、P3‐P4に装着しています。2チャンネルで実施している施設も多いですが、測定部位によって特性があります。例えば、C3-O1,C4-O2を使用した場合、頭血腫や帽状腱膜下血腫などを併発していた場合、電位が低下する可能性があります。また、Fp1-C3,Fp2-C4を使用した場合は筋電図の影響を受けやすくなります。それらを考慮して測定する部位を選択することが重要です。

Baby Cooling Japan(新生児低体温療法登録事業)の2018年までのデータを集積した所、aEEGは、低体温療法を実施している施設のうち、8割の施設で測定されており、そのうち復温まで測定している施設は6割でした。

新生児発作の発生時期は、初回発作が復温直前、復温中の児にも検出されたと文献で報告されています。私見としては、できれば、復温終了後1日や、MRIを施行されるまでは、aEEGを使用することを推奨します。

予後予測や新生児発作を見逃さないように、aEEGの長期モニタリングが重要であると考えます。

[ 3 ] 血圧の解釈と対応

演者:津田 兼之助先生
名古屋市立大学大学院 医学研究科 新生児・小児医学分野

低体温療法は、適応基準AとBを満たした時に適応となります。適応基準Aは低酸素虚血のエビデンスを示したもので客観的な指標になります。適応基準Bは脳症の存在を観察するもので、主観的な指標になります。これらと同様に除外基準も重要です。また、低体温療法を安全に施行できるかが大切になります。中でも、的確な呼吸・循環等のアセスメントができているかが重要です。

低体温療法の合併症として除脈が挙げられます。2009年には、「低体温療法実施群を体温コントロール群と比較したところ、低体温療法実施群の方が20~30回/分心拍数が低かった。」という発表がありました。一般的に低体温療法中の心拍数は、90回/分台が正常であり、110~120回/分以上の場合は、痙攣発作や、ストレスサインの可能性があると言われています。

Baby Cooling Japanの第一報では、選択的頭部冷却と全身冷却の各200例で、体温や心拍数などの推移を示しました。

Baby Cooling Japanの第二報では、冷却開始から復温にかけて、予後不良群は頻脈になっていることがわかりました。冷却開始時点から、予後良好群と不良群の心拍数の差は明らかでした。血圧と心拍数の関係には相関が認められませんでした。

現在、様々なモニタリングツールがありますが、それらの解釈が難しい面もあります。臨床現場では発達を見ていかなければわからないと家族に説明しなければならないことも多く、家族や医療者にとっても先が見えない不安があります。今後はさらに、生体連続データやその他のパラメータを併せることにより、医療者と家族が一丸となり、インタクトサバイバル(障害無き生存)を目指していきたいと思っています。

[ 4 ] 体温管理について

演者:中村 雅子先生
倉敷中央病院 看護部 新生児集中ケア認定看護師

【出生~蘇生にかけて】
新生児仮死でない児では37.5℃以下に体温を維持することが推奨されていますが、仮死児の体温については推奨温度は記載されていません。しかし、仮死の有無に関わらず、蘇生児の体温は、36.5℃~37.5℃で管理することが重要です。

【搬送中】
搬送前に低体温療法の適応であると医師が決定した場合には、搬送用保育器の温度をあらかじめ低下させます。搬送中の目標体温は36℃台にしています。

【入院受け入れ前後】
低体温療法では、一刻も早く目標体温に到達することが重要となります。入院前に搬送チームより低体温療法導入の決定の連絡があった場合、入院時より冷却が開始できるように準備しています。低体温療法は頻繁に行われる治療ではないため、日頃より低体温療法導入基準を看護師も理解し、迅速に導入できるように体制を整える必要があります。

【導入期】
入院時早期より深部温プローブを使用し、体温測定を開始します。冷却開始後、40~60分以内に33.5℃の目標温に到達するように深部体温をコントロールしていきます。深部体温が35.0℃に達した時点より、体温が低下しすぎないように注意深く観察することが重要です。

【維持期】
低体温療法の維持期は導入期や復温期と比較し、バイタルサインは安定しています。当院では1時間毎にバイタルサインを観察し、2~3時間毎の体位変換に併せて尿量や皮膚の観察を行っています。体位変換時、ポジショニングマットはArcticジェルパッドの下に置き、体とArcticジェルパッドの接触面を広く保つようにしています。

【家族のケア】
初回の面会時は家族が動揺する事も多く、薬剤によって眠っていること、治療の為に体温が低いことや現在の治療内容等を話します。さらに母親が愛情を捧げられるように、母乳を口腔内に投与する等の工夫を行っています。

【復温期】
冷却開始後、72時間で復温を開始します。復温のペースは0.5℃/hr以内です。深部体温が36℃となった時点で復温が終了します。復温期前後では体温が上昇する事もあり、復温完了後の24時間は深部体温のモニタリングが推奨されています。復温期に体温が上昇しにくい場合には掛け物を使用すると、安定した復温管理が実践できます。

最後に、今後の目標として、緊急蘇生中の体温測定の実施や aEEGの更なる活用などにより、微細な変化を見逃さないようにしていきたいと思っています。

今回の内容は、低体温療法中の様々なモニタリング方法から看護まで非常に濃いものでした。今後もアイ・エム・アイ株式会社は新生児における低体温療法に共に歩んでいきたいと思っております。

最後にモデレータ-を務められた佐野先生、岩田先生並びに、演者を務められた清水先生、竹内先生、津田先生、中村先生に厚く御礼申し上げます。

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