掲載:2013年4月 / 文責:クリティカル・ケア部
この度、学術集会初日3/15(金)の夕方に弊社共催の“ファイアサイドセミナー7“【Therapeutic Hypothermia and PCI for Cardiac Arrest Patients:心停止患者への低体温療法および緊急PCI】を開催させていただきました。
セミナーの演者として、Michael.R.Mooney先生、座長として静岡県立総合病院、院長代理である野々木先生をお招きさせていただきました。
演者
Michael R. Mooney先生
Director of Interventional Cardiology, Minneapolis Heart Institute at Abbott Northwestern Hospital, MN,USA
座長
野々木 宏 先生
静岡県立総合病院 院長代理
【講演の背景】
昨今、2010年各国蘇生ガイドライン改訂で心拍再開後の低体温療法、冠動脈カテーテル治療、経皮的人工心肺等の補助循環も強く勧告されました。心停止の原因が不明の自己心拍再開患者において、心電図でSTが上昇している場合は96%、そうでない場合は58%の患者に冠動脈病変を認めたことが報告*1され、蘇生後PCI(経皮的冠動脈形成術)施行患者の6カ月後生存率も60%という良好な成績も確認されております*2。特に心室細動による院外心停止患者で、心拍再開後の昏睡状態の患者に対しての低体温療法はクラスⅠの勧告となったことは周知の通りで、緊急PCI(経皮的冠動脈形成術)と低体温療法を併用した場合の有用性も報告されてきております*3。
そこで、心原性心停止患者の原疾患の治療に携わる循環器内科の先生方が多く集まる本学術集会の本セミナーにおいて、米国のMHI-ANW(Minneapolis Heart Institute at Abbott Northwestern Hospital)でご活躍されているMooney先生にお越しいただき、低体温療法、PCI、STEMI(ST上昇型心筋梗塞)など、循環器救急医療のシステム化の話題についてご講演いただきました。
【講演内容の一部】
MHI-ANWは2003年にSTEMI患者(ST上昇型心筋梗塞患者)に対して、迅速なPCIを施行できるように、ANWを中心とした半径210mile(338km:Minenesota州の他にWisconsin州の一部を含むエリア)内にある33の基幹病院とネットワークを結び、「Level 1」と称する迅速な医療搬送システムを構築しました。更に2006年には、参加施設はもちろん、救急隊員や搬送隊員に対しても心停止患者における低体温療法に関するプロトコール等の教育やトレーニングを実施し、地域の医療レベルの向上にも務めてこられたとのことです。また、約6年間(2006年4月末~2011年12月末)に渡るANWにおける「Level 1」に関する治療成績*4についても講演で触れておられました。
また、Mooney先生の施設では、低体温療法に使用する体表冷却装置ArcticSun6台を所有しておられます。ArcticSunのジェルパッドが入った袋は、心臓カテーテル室(以下:心カテ室)の棚に置いてスタンバイしてあります。Level 1のcallがあれば、患者到着までの間に、心カテ室のベッドにジェルパッドを敷いておき、患者が入室してきたら看護師がジェルパッドをすぐに装着できる体制を整えており、来院後約6分で低体温療法と緊急PCIを行いながら冷却ができる体制を構築しているとのことです。 (DVD再生29分頃)
【参考文献】
*1 Circ Cardiovasc Interv 2010;3:200-7
*2 Circulation.2007;115:1354-1362.
*3 Resuscitation 2007;74:227-234
*4 Circulation.2011,124:206-214
【DVDご進呈】
本セミナーにご参加いただいた先生方で、アンケートにて、「本セミナー内容を収録したDVDを希望する」という欄にチェックを入れていただいた方には、本セミナーのDVDを配布させていただきます。また、ご参加できなかった方のために、本セミナーの模様を収録したDVDを別途ご用意いたしました。ご希望される方は、下のDVD申込リンク先のアンケートからご用命ください。
■ DVD申込ページリンク
■ 商品紹介ページリンク
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監修: 日本循環器学会蘇生教育小委員会・蘇生科学小委員会 |
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1. |
なぜ心拍再開後のケアが重要か | 2. |
心停止後症候群の治療 |
3. |
院外から救急室までの連携と補助循環 | 4. |
低体温導入方法:開始時期と方法 |
5. |
低体温維持方法 | 6. |
復温の方法について |
7. |
鎮静薬の使用方法について | 8. |
注意すべき合併症について |
9. |
低体温、補助循環、PCIの統合 | 10. |
非心原性心停止への低体温療法 |
11. |
小児に対する低体温療法 | 12. |
新生児に対する低体温療法 |
13. |
脳機能評価方法 | 14. |
測定パラメータ |
15. |
心拍再開後ケアに用いられる機器と臨床工学技士の関与 | 16. |
標準化トレーニングについて |
17. |
蘇生科学の試験計画の立案方法から論文作成まで |
文責: クリティカル・ケア部