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デューク大学 ICU人工呼吸器プロトコール はじめに

デューク大学 ICU人工呼吸器プロトコール

 

はじめに

davDuke University Hospitalはアメリカ合衆国、ノースカロライナ州にある大学附属病院です。今回、このデューク大学ICUにおける人工呼吸管理方法をご紹介します。インタビューと資料提供にご協力頂いたのは、同施設のRRTであり、Clinical Research CoordinatorであるJohn D. Davies氏です。

【John D. Davies氏】
Duke University Hospitalでは、Respiratory Care Practitionerミーティングで作成された、セクション毎(ICU、NICU、PICU・・・)の人工呼吸管理のプロトコールに基づき、医師やRRT(Registered Respiratory Therapist、呼吸療法士)が換気モードや換気条件の設定をおこなっています。

 

 Adult ICUにおける第一選択の換気モードを教えてください。
 ICUのプロトコールにはボリュームコントロールA/C(補助調節)、もしくはプレッシャーコントロールA/Cのいずれかを選択する、となっていますが、殆どの場合はプレッシャーコントロールA/Cが選ばれます。ARDSの患者様に対してはプレッシャーコントロールA/Cを選択しますが、呼吸状態が悪く、更に積極的治療が必要な場合にはHFO(高頻度振動換気)をおこなう場合もあります。

小児科ではプレッシャーコントロールSIMVや、PRVC(Pressure Regulated Volume Control)も選択しているようです。

 プレッシャーコントロールにおける換気条件の初期設定を教えてください。
 患者様に対して、目標とするpH、PaO2、SpO2を維持でき、且つプラトー圧の上限値(30cmH2O)を超えない数値に吸気圧を設定した後、吸気時間を患者様の不快感がない時間に調節します。この時、IE比は1:1以下(1:2や1:3など)になるよう留意します。呼吸回数は10~30回/分とし、目標とするpHを達成するように調節します。FiO2とPEEPは目標とするPaO2とSpO2の数値を考慮しながら、作成したFiO2・PEEP対照表に従って設定します(例:PEEP:5~14cmH2Oの時はFiO2=0.30にする、など)。

 ウィーニングの方法を教えてください。
 プレッシャーコントロールA/C→プレッシャーサポート→SBT(自発呼吸試験)の順におこない、SBTに通ったら抜管します。

 なぜプレッシャーコントロールSIMVは使用しないのですか。
 患者様の自発呼吸の出現と同時に、すぐにプレッシャーコントロールA/Cからプレッシャーサポートに切り替えることを検討するからです。また、様々な換気モードを使用する環境が存在したり、強制換気と自発呼吸によるトリガーが混在したりすると、個々のトラブルへの対処が複雑になることが予測されるからです。

 最新の換気モードである、APRV(Airway Pressure Release Ventilation)は選択されないのですか。
 我々の施設では、以下の理由でAPRVを使用しません。

APRVで予後が良好であったという研究が殆どない。(腹臥位と同じく、PO2の改善には効果があっても、死亡率には影響がない)

高圧相において患者様がアクティブに呼吸をすることで、Volutraumaになる危険性がある。

(APRVではAuto-PEEPを作ることによって低圧相における肺胞虚脱を防いでいますが、)Auto-PEEPの測定ができない。

【解説】APRVの作動原理
APRV(Airway Pressure Release Ventilation)は言わば2相式のCPAPです。低圧と高圧を交互にかけながら、それぞれの相で自発呼吸が可能であることから、鎮静や筋弛緩などを深くかけなくとも換気がおこなえるということで注目されている換気モードです。


 PRVCは使用しないのですか。
 当施設では長期にわたってプレッシャーコントロールやプレッシャーサポートを使用しており、(換気量のモニターに精通しているため)1回換気量の補償機能は必要ないと考え、使用していません。

【解説】PRVCの作動画面(AVEAベンチレータ)
PRVC(Pressure Regulated Volume Control)とは、換気量補償型の圧制御あるいはプレッシャーコントロールあるいは圧制御方式の換気モードです。前回の呼吸状態を参考にし、設定1回換気量が入るよう毎呼吸モニターしながらPIPを自動調節します。

 

John D. Davies氏のご好意により、Duke University HospitalのICUで実際に使用されている呼吸管理のプロトコールを公開する許可を頂きました。

 

 

 

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