呼吸管理中のトラブルと注意事項
患者さんに被害を及ぼすことはなかったが、日常診療の現場で、“ヒヤリ”としたり、“ハッ”とする「ヒヤリ・ハット」事例。この発生の三大要因は、「確認が不十分であった」、「観察が不十分であった」、「心理状態(慌てていた・思い込み等)」です。
ヒヤリ・ハット事例を未然に防ぐためには、よく確認、観察する、慌てず落ち着いて行動する、思い込みだけでなく、今一度確認する、といった基本的動作、行動、心がけが重要です。
特に人工呼吸管理においては、様々なヒヤリ・ハット事例が報告されています。今回は、これらを未然に防ぐと共に、安全に安心してご使用いただくための、一般的な点検、準備、注意について紹介しますので、院内の呼吸管理にお役立てください。
※以下の記載内容は全ての機種に共通するものではありません。ここでは一般的な内容を紹介します。詳しくはご使用になる人工呼吸器の取扱説明書、添付文書をご覧ください。
1.駆動源
(トラブル例)
コンプレッサのフィルタの目詰まり、配管/コンプレッサからの水の発生、ガス供給圧の不足/過剰
(対策、チェックポイント)
定期的にフィルタの汚れを点検、清掃
本体ガス入力部のウォータートラップに水が溜まっていないことを確認
ガス供給圧力を点検
耐圧ホースの接続を確認

2.酸素ブレンダ
(トラブル例)
精度不良
(対策、チェックポイント)
定期的に吸入酸素濃度を実測し、設定値と一致することを点検
酸素と圧縮空気の供給圧差を無くする
3.人工呼吸器本体
(トラブル例)
換気機能やアラーム機能の作動不良
(対策、チェックポイント)
使用前のチェック、定期保守点検(作動確認・点検・調整・消耗品交換など)を実施
設定値(酸素濃度・上限圧・換気量・呼吸回数など)が適正であることを確認、再評価
適切なアラームレベルを設定
アラームが「ON」であることを確認
目視、生体情報モニタ(パルスオキシメータ、呼気CO2モニタ、血圧計、心電図)、換気量計や聴診器などにより、
患者さんの状態を常に観察
フローセンサに水が溜まっていないこと、ネブライザによる薬剤がついていないことを点検
電源コンセントの抜け、取り付け箇所の間違いを点検。コンプレッサとは別電源に切り替える
回路交換や万一の故障、災害に備え、救急蘇生バッグ(アンブバッグ)を準備
2.呼吸回路
(トラブル例)
リーク(コネクタ・チューブなどの接続の間違いや抜け、チャンバの破損、ウォータートラップやネブライザからの漏れ、蛇管の破損)、回路内の結露(水が患者さんの気管内に入った)、加温加湿器(滅菌蒸留水)の補充不足による気道の乾燥
(対策、チェックポイント)
リークテストを実施
呼吸回路の接続を再確認
患者さんの顔や手足の色(チアノーゼ)、胸の動き、呼吸音(左右)を観察・聴診
加温加湿器チャンバに破損のないことを点検
気道内圧が適正な範囲に入っていることを点検
呼気換気量が設定値に近似していることを点検
気道内圧測定チューブ中に水がないことを点検
ウォータートラップ内の水を排水
吸引時に痰の粘調度を点検
吸入ガス温度が適切であることを測定
加温加湿器チャンバが温かいことを点検
温度計、温度プローブが吸気側に入っていることを確認
感染防止のため、呼吸回路やフィルタを定期交換
人工鼻はメーカーの指定に従い交換
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