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PDEユーザーレポート Vol.6  「下部消化器外科のICG 蛍光法について」

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2015 年の部位別がん罹患数の予測では、大腸が135,800 人と最も罹患数の多い臓器という予測が、国立研究開発法人国立がん研究センターより報告されました。PDE 赤外線カメラも近年、下部消化器外科領域での有用性が多数報告され、ICG 蛍光法が注目されています。そこで、順天堂大学 消化器外科学講座 下部消化管外科学 教授 坂本 一博 先生に、PDE を用いた手技・観察のポイント等についてお話を伺いました。

順天堂大学 消化器外科学講座 下部消化管外科学 教授
坂本 一博 先生写真

順天堂大学 消化器外科学講座 下部消化管外科学 教授
坂本 一博 先生

[ご経歴]

1984 年 順天堂大学医学部卒業
1986 年 順天堂大学 第一外科学 医局員
1991 年 順天堂大学 第一外科学 助手
1996 年 順天堂大学 第一外科学 臨床講師
2002 年 順天堂大学 第一外科学 講師
2003 年 順天堂大学 消化器外科学講座
下部消化管外科学 講師
2006年 順天堂大学 消化器外科学講座
下部消化管外科学 助教授
2007 年 順天堂大学 消化器外科学講座
下部消化管外科学 先任准教授
2009 年 順天堂大学 消化器外科学講座
下部消化管外科学 教授

1.下部消化器外科のICG 蛍光法について

Q:大腸領域ではどのような目的でICG 蛍光法を使用されているのでしょうか?

大腸領域イメージ

坂本先生:近年、下部消化器外科でも様々な用途でICG 蛍光法が使用されています。
例えば、センチネルリンパ節の同定、術中の腫瘍マーカーとして、イレウスやNOMI 等の腸管の虚血領域の確認、痔等の治療の際に使用された報告などがみられます。
当院では、大腸がんの手術の際、切除予定部位の血流をICG 蛍光法で観察し、切除ライン決定の判断に用いています。

2.ICG 蛍光法を用いた術中血流評価について

Q:切除範囲を確認する際になぜ、切除部位の血流の確認が必要なのでしょうか?

坂本先生:大腸癌手術の大きな合併症の一つとして縫合不全が挙げられます。縫合不全を生じた場合、腸管の吻合部から便が漏れて周囲に感染や炎症が広がり,場合によっては重篤な腹膜炎となることがあります。発生の頻度は部位や術式により異なりますが、低前方切除術症例等では、約10% の縫合不全の発生率があると報告されています。
縫合不全の要因は様々ですが、吻合部組織の血流不全が大きな因子として考えられています。
大腸は主に上・下腸間膜動脈から血液の供給を受けていますが、以前に手術歴があり既に動脈が切除されている場合や、腫瘍の支配血管を根部で切離する症例では特に吻合部の血流確認が重要となります。
このため、当科ではICG 蛍光法を用いて吻合予定部の組織に十分な血流があるか、確認を行っています。

ICG 蛍光法を用いた術中血流評価について

Q:ICG 蛍光法はどのように実施されていらっしゃるのでしょうか?

坂本先生:腹腔鏡手術を約80%の大腸癌症例で行っていますが、腹腔内の操作が終わると、小開腹創から切離する腸管を腹腔外に引き出します。そして、腸間膜の血管を処理し、腸管を切離する前に行っています。
ICG を100㏄の注射用水で希釈し(0.25㎎ /ml)合計2ml を静注し、PDE カメラでICG の蛍光を観察しています。

Q:PDE で観察中にどのような点に着目されていらっしゃるのでしょうか?

坂本先生:ICG を投与後、約50 秒で腸管にICG が流入し蛍光を発してきます。
腸管にどのようにICG が流入するか?どこまで流入するか?に注目し、左側結腸・直腸では切除腸管の口側領域を、右側結腸では切離腸管の口側ならびに肛門側領域の観察を行っています。
特に蛍光のムラがみられる箇所や、ある程度時間がたってから徐々に染まってくる箇所には特に注意を払いながら観察を行い、十分な血流がみられる部位を同定した上で適切な切離ラインを決定しています。
これにより、当初の予定していた切離ラインの変更が必要になった症例も経験しています。

Q:食道再建術等ではICGを投与してから観察する臓器の蛍光が発する時間に着目していますが、下部消化器領域でも時間に着目されておられるのでしょうか?

坂本先生:投与から蛍光確認される時間も計測していますが、はっきりした評価ができていません。
しかし、蛍光を発するまで時間が遅い症例等では、吻合不全との関係もあるのではと考えていますが、食道の再建術での観察と異なり、大腸癌は、盲腸・上行結腸・横行結腸・下方結腸・S 状結腸・直腸等様々な部位で発生する ために観察範囲が広く、ICG が到達するまでの距離と流入する血管が観察部位によって異なっています。
その為、食道再建術とは違った視点での評価・検討が必要であると考えています。

ICG 蛍光法を用いた術中血流評価について

3.今後のICG蛍光法について

Q:今後のICG 蛍光法ついてどのようにお考えでしょうか?

坂本先生:ICG 蛍光法は広範囲の血流の流れや分布をリアルタイムかつ客観的に観察できる優れた方法であると考えています。
ただ、現時点では画像上での評価にとどまり、定量的な評価が難しい点が課題であると考えています。
今後、ICG が組織に対しての流入の速さや量、また脱血の速さについて画像解析等により定量的な評価が可能になれば、より精度の高い評価ができると期待しています。
また、センチネルリンパ節にも注目していますが、現在のICG では分子量が小さいため、センチネルノードにとどまらず、観察目的以外の部位が数多く光ってしまうという問題点があります。
将来、より分子量の大きいトレーサーや癌集積性のあるトレーサーが登場する事を期待しています。

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(2016年5月)

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