掲載:2013年4月 / 文責:クリティカル・ケア部
昨年12月第26回冠疾患学会(2012年12月14日~5日、ステーションコンファレンス)前日に開催された「内科系トレーニングワークショップ~心原性心停止の心拍再開後のケアを学ぶ」に引き続き、第77回日本循環器学会学術集会 【2013年3月15日(金)~17日(日)、パシフィコ横浜】の前日にも、日本循環器学会蘇生教育小委員会主催のワークショップ【心原性心停止後のケアを学ぶ-低体温療法の導入手法-】が開催されました。
ワークショップには、100人以上の先生方が参加され、最初から最後まで、各プレゼンター並びコメンテーターに対する活発な質疑応答が続きました。昨今の知見を共有しようという開催側の企画と、参加される先生方のニーズがマッチした会であったことを実感しました。
弊社は「体表面冷却手法」に参加させて頂きました。ワークショップの概要と、発表内容をご紹介させて頂きます。
治療法および評価方法 | 機器 | 演者 | コメンテーター |
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体表面冷却手法 | ArcticSun | アイ・エム・アイ(株) | 田原良雄先生 (横浜市大市民医療センター) |
血液冷却手法 | Endovascular cooling | 旭化成ゾールメディカル(株) | 笠岡俊志先生 (熊本大学医学部付属病院) |
KTEK | 川澄化学工業(株) | 三木隆弘先生 (駿河台日本大学病院) |
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PCPS | テルモ(株) | 有元秀樹先生 (大阪市立総合医療センター) |
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咽頭冷却手法 | - | 大研医器(株) | 長谷守先生 (札幌医科大学病院) |
補助循環 | Lucas | フィジオコントロールシャパン(株) | 白井伸一先生 (小倉記念病院) |
評価方法 | INVOS | コヴィディエンジャパン(株) | 伊藤賀敏先生 (大阪府済生会千里病院) |
NIRO | 浜松ホトニクス(株) | 横山広行先生 (国立循環器病研究センター) |
従来型のウォーターブランケットとArcticSunの一番の違いは、使用するパッドです。ArcticSunはジェルパッドを使用し、肌への密着性に優れ、高い熱伝動効率を誇ります。そのため、ジェルパッドに流れる水温がすぐ肌に伝わります。 加えて、機器本体に緻密な温度制御アルゴリズムが内蔵され、体温のモニタリングを行いながら水温を自動モードでコントロールします。看護師の方が機械に張り付いて水温を調節する必要がなく、「看護労力の軽減」に大きく貢献します。
2007年よりArcticSun2000を販売し、ArcticSun5000は2011年より発売を開始しました。5000の特徴は、ジェルパッドの特性はそのままに、ディスプレイが大きく、患者体温や水温のトレンドグラフも表示されるようになりました。ArcticSun使用中の患者体温、水温等のデータもUSBメモリに保存でき、どのような温度管理が施行されていたかを確認、検証することも可能です。
重篤な合併症が生じるリスクが低い点もArcticSunの特徴です。
ジェルパッドを貼りつけるだけなので、非侵襲的な体温管理が速やかに導入できます。過冷却を抑えるアルゴリズムも搭載し、安定した冷却維持、また0.01℃/Hからの緩やかな加温速度の設定も可能です。
[ 1 ] Arctic Sunとウォーターブランケットの比較
[ 2 ] 横浜市立大学附属市民総合医療センターにおける低体温療法施行例の神経学的転帰
[ 3 ] Arctic Sunと血管内冷却カテーテルの冷却と合併症についての比較
質疑応答・コメント
Q: Arctic Sunは、冷却するのに3~4時間かかると聞いたことがあるが、実際の所はどうですか?
A:(田原良雄先生) 血管内カテーテルは結局挿入するのに時間がかかることもあるし、レントゲンでの確認が必要なものもあったりするため、導入までの時間に加え、目標体温への到達の時間を考えると、ArcticSunとあまり変わらないのではないでしょうか? Arctic Sunは看護師でもすぐに装着して開始でき、冷却輸液などと併用するともっと早く冷やせると考えています。
A:(Dr. Michael R. Mooney : Director of Interventional Cardiology, Minneapolis Heart Institute at Abbott Northwestern Hospital, MN,USA)
当院では、ArcticSun6台を使用しています。心臓カテーテル室にArcticSunを準備しており、カテーテル室のベッドにArcticSunパッドを敷いておき、患者が入院してきたら看護師がパッドをすぐに装着しますから、約6分で冷却導入をできます。緊急PCI(冠動脈形成術)を行いながら冷却ができる体制を構築しています。
Michael R. Mooney 先生
3/15ファイアサイドセミナー7
「Therapeutic Hypothermia and PCI for Cardiac Arrest Patients」
又、浜松ホトニクス株式会社からは、赤外線酸素モニタNIRO-200NXの低体温療法への使用事例や、CPR時の脳血流をモリタリングするNIRO-Pulseモードについてのプレゼンテーションがありました。
書籍紹介:
蘇生教育小委員会と蘇生科学小委員会 企画・監修
「心停止における心拍再開後ケア」 (へるす出版、本体価格4200円)
が発刊されましたArcticSunの使用事例も掲載されています。是非ご覧ください!
弊社では、体温をコントロールするArcticSunのみならず、脳神経をモニタリングするNicoletOne、脳循環・代謝をモリタリングするNIRO-200NXを取り揃え、体温管理のより包括的なサポートに取り組んでおります。またレンタル機もご準備しております。
体温管理に関する勉強会・説明会を随時行っておりますので、気軽にお声掛けください!!