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アンブ ディスポーザブル蘇生バッグ~採用が増加している、その理由とは?

近年、院内感染防止は医療機関にとって大きな問題です。また蘇生バッグの組立てを間違ってしまうことにより、いざというときに蘇生バッグを使用できなかったという事例も耳にします。こういった問題もディスポーザブルタイプの蘇生バッグのご採用によって多くの部分で解決いただけます。こうしたことから、ディスポーザブルタイプの蘇生バッグをご採用いただく医療機関が増加しています。

弊社で販売しておりますアンブ蘇生バッグでも、リユーザブル蘇生バッグとディスポーザブルタイプの蘇生バッグの販売数比率はここ10年で逆転しています。

(弊社出荷実績におけるリユーザブル蘇生バッグとディスポーザブルタイプ蘇生バッグの販売数量比率の推移:2012年2月末現在)

医療環境は異なりますが、日本国内だけではなく欧米をはじめとして世界的にも同様の傾向となっています。

 

ディスポーザブルタイプ蘇生バッグのメリットとデメリット

<作動不良発生の防止>

 ディスポーザブルタイプの蘇生バッグをご採用いただく理由として一番多くお聞きするのが、誤組立に起因する作動不良の防止です。

 リユーザブル蘇生バッグは、ご使用後「分解」⇒「洗浄」⇒「消毒・滅菌」⇒「乾燥」⇒「再組立」⇒「作動チェック」という過程を経て現場に再び配備されます。この過程の中で、誤って組み立てられたことにより、「緊急時に蘇生バッグを使用しようとしたところ作動せず慌てた」という事例も耳にします。誤組立は作動チェックを正しく行うことにより防止することは可能ですが、作動チェックのやり方によっては必ずしも発見できない場合もあります*。
 勘違いやお忙しい中でのチェックでの見落としなど、ヒューマンエラーは付きものです。こういった事例への対策には、ヒューマンエラーの介在をなくすことが最善策のひとつになります。

 ディスポーザブルタイプの蘇生バッグは、分解ができません。単一患者さんのみへの使用となりますので、ご使用後他の患者さんに使用する場合は廃棄し、新しいものに入れ替えとなります。メーカー出荷時に作動チェックを行っていますので、常に使用可能な状態で各現場に配備しておくことができ、いつでも安心してご使用いただくことができます。これがディスポーザブルタイプ蘇生バッグご採用の最大のメリットです。

* 中島幹夫、櫻田琢「緊急気管挿管時に小児用蘇生バッグ(シリコンレサシテータ)の異常を発見した1例」 日小児麻酔会誌 2004;10:143-146 

 

<院内感染対策>

 医療機関においては、院内感染防止対策が最大の関心事のひとつです。この数年の間にも、多剤耐性菌アシネトバクター・バウマニなどによる院内感染が報告・報道されています。院内感染は必ずしも完全に防止できるものではありませんが、できる限りの対策を施すことがますます求められています。厚生労働省より出されている「医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引き(案)(070413 ver.3.0)」でも、人工呼吸器関連肺炎(VAP)対策として「アンビューバッグやジャクソンリースは汚染がなくても患者ごとに交換する。(ⅢA)」とされています(6.10項)。聴診器でもひとりの患者さん専用にして複数の患者さんには使用しない医療機関も増加しているということを聞きます。ディスポーザブルタイプの蘇生バッグを使用することが、院内感染防止のお役に立つのではないでしょうか。
 リユーザブル蘇生バッグは、使用後には消毒・滅菌することとなりますが、その過程における院内スタッフなどへの感染の危険性も心配の種となり得ます。ディスポーザブルタイプの蘇生バッグであればこういった心配も少なくて済みます。(ディスポーザブル蘇生バッグご使用の場合でも廃棄時の感染リスクを伴います。)

 

 

<費用>

 蘇生バッグに必要な費用も医療機関では大きな関心事です。使用頻度にもよりますが、ディスポーザブルタイプの蘇生バッグを使用した場合には購入費用がかさむことになります。ディスポーザブルタイプの蘇生バッグの価格は、機種や製造メーカーによっても異なりますが、リユーザブル蘇生バッグの1/3から1/5程度になります。滅菌過程に必要な費用を差し引いても、5~6例使用するとリユーザブル蘇生バッグ1個購入する金額と同等となります。こういった観点からすればディスポーザブル蘇生バッグの価格が高いということがデメリットになります。

  一方で、万が一にも院内感染が発生してしまった場合、その対応・対策費用は比べものにならないものになってしまいます。また、いざという時に使用できないという事例を経験された多くの施設では、安心を買うということからディスポーザブルタイプの蘇生バッグをご採用いただいています。使用頻度が5~6症例/年以下と少ない部署であれば、ディスポーザブルタイプの蘇生バッグのメリットが大いに生きてきます。使用頻度の少ない部署にはディスポーザブルタイプの蘇生バッグを配備、使用頻度の高い部署にはリユーザブル蘇生バッグを配備するというのもひとつの方法です。

(蘇生バッグの経費比較試算:滅菌にかかる経費は1個1,500円で試算) 

 

ディスポーザブルタイプ蘇生バッグのメリットとデメリット


商品コード番号
サイズ
 
商品コード番号
サイズ
102 02 130 
新生児用(酸素リザーバチューブ付)
 
102 02 110
成人用
102 02 140 
新生児用(酸素リザーババッグ付)
 
102 02 120
小児用

アンブ社は世界で初めて現在の形式の蘇生バッグ(バッグバルブマスク)を世に送り出したデンマークのメーカーです。アンブ蘇生バッグは世界中で絶大な信頼をいただき、世界中の救急蘇生現場で活躍しています。詳細はAmbu Historyをご覧ください。

単一患者使用蘇生バッグとして開発され、日本国内でも1991年に発売されたアンブ蘇生バッグ シングルペーシェントユース(Ambu Single Patient Use Resuscitator)を改良、アンブ蘇生バッグSPURⅡとして2007年4月から日本国内での販売を開始しました。

SPURⅡは、バッグの形状が楕円(オーバル)形状に変更されました。これによりバッグはより小型・軽量化され、手の小さな方にも一層取扱やすくなっています。 従来PVCであった材質もスチレン系素材に変更されています。焼却時に有毒ガスを排出しない、環境にもやさしいバッグです(フェースマスクおよび酸素供給チューブはPVC製)。

 

<オプション品>

 

小児用および新生児用にはマノメータポートが付属しています。小児・新生児患者さんにご使用いただく際、手元にオプションの専用マノメータを取り付けていただくことにより、患者さんの気道内圧をモニタリングしながらより安全に換気を行っていただくことができます。

 


全サイズPEEPバルブを取り付けることができます。蘇生バッグを使用してのPEEP療法も可能です。取り付け部(患者バルブの呼気側コネクタ)はすべて外径30mmですので、サイズにかかわらず同じPEEPバルブをご使用いただけます。
 SPURⅡ発売に合わせ、ディスポーザブルのPEEPバルブも販売を開始しました。

 

 <SPURⅡの主な仕様>
成人用
小児用
新生児用
 対象患者(体重)
30 kg以上
10 kg 以上 ~ 30kg未満
10 kg未満
 最大送気量
1,100mL
450mL
150mL
 酸素リザーババッグ容量
2,600mL 
300mL
 酸素リザーバチューブ容量
100mL
 サイズ(マスク・酸素リザーバを除く)
31.1(長) x 15.7(直径)cm
25.1(長) x 9.9(直径)cm
16.8(長) x 7.1(直径)cm
 重量(マスク・酸素リザーバを含む)
314 g
215 g
140 g
 医療機器承認番号
21900BZX00288000

 

 <SPURⅡ構成品>
成人用
(102 02 110)
小児用
(102 02 120)
新生児用
(酸素リザーバチューブ付)
(102 02 130)
新生児用
(酸素リザーババッグ付)
(102 02 110)
 蘇生バッグ 
成人用
小児用
新生児用
 ディスポフェースマスク
ミディアムアダルト
乳児
新生児
 酸素リザーバ
酸素リザーババッグ
酸素リザーババッグ
酸素リザーバチューブ
酸素リザーババッグ
 酸素供給チューブ
1
1
1
1
 収納バッグ
1
1
1
1

 

(2012年4月)

 

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